さらに、予測精度を向上するために入力データを正規化、変換し、 自己組織化マップを作るときの係数の最適値を調べ、考察した。
まず、各地点の観測データを用いて気象の予測を行い、予測精度に関する特徴を分析した。 その結果、データの推移のパターンから天気を予測する方法は、 パターン分類したマップの結果から予測するより精度が低いことがわかった。 また、入力を0〜1000に正規化するだけでうまくマップが作られ、 予測精度が向上することもわかった。
次に、入力データの種類に応じて正規化したデータの係数を変えると予測結果にどのように影響するかを調べた。 その結果、元々マップ上でのデータの開き具合が大きい 降水量の係数を大きくすると、さらに差が広がってしまい、予測精度が悪くなった。 しかし、それに近づけるように気温の係数を大きくすると、 少しだけ予測精度が上がった。 また、マップ上のばらつきにより依存するデータの推移からの予測法は、 さらにこの変換によっての向上が見られた。
次に、自己組織化マップを作るときの係数を変化させることで、 予測の精度がさらに向上するか検証した。 その結果、学習率係数は大きくするほど、学習近傍領域の初期値は小さくするほど 予測結果がよくなることがわかった。
以上の結果から、自己組織化マップによるパターン分類及び翌日の気象の学習によって、 気象の予測は可能であり、 また入力データを変換したり、学習方法を工夫することで 予測精度をあげることが可能であることがわかった。 そして、降水の有無の予測は少しは信頼性の置けるものになりつつあり、 さらに研究が進めばより信頼性を持つものも作ることができると思う。
今後の課題として、入力データの推移をグラフ化したときに、 そのデータをより一般的な気象データとして見るために平滑化したり、 季節ごとのマップを作り、秋と春が同じ予測データを用いることを避けることなどがある。