next up previous contents
Next: 3.2 カオス的挙動 Up: 第3章 カオスとカオスニューラルネットワーク Previous: 第3章 カオスとカオスニューラルネットワーク

3.1 カオスの定義

カオス(chaos)を日本語に訳すと「混沌」や「無秩序」という意味である。 カオスは、19世紀末から20世紀初頭にかけてのポアンカレの研究以来、カオス概念が研究の表舞台に登場してきた。しかし、カオスという言葉をきちんと定義すること自体でさえ大変難しい問題であるほどカオス理論は今だ発展途上の研究分野である。現在、決定論的力学系に見られる不規則でかつ複雑な軌道が、一般的にカオスと総称されている。

カオス現象は、日常的に起こるごく自然の現象でもある。風にながれる雲、落ちてくる雨、ゆるやかな川の流れ。これら自然現象全てがカオス現象である。カオス現象は、自然物、人工物を問わず非線形システムにごくごく当たり前に生じる現象である。

カオスの定義は様々な研究者によってなされているが、それらを総じて要約すると、カオスとは、

「決定論的なシステムがつくり出す非周期振動」

という現象であるといえる。ここでいう決定論システムとは、破ることができない不変の法則からなる系という意味であり、非周期振動というのは、専ら偶然に支配される確率論的な運動という意味である。すなわちカオスは、不変の法則に支配される系にありながら法則性のない予測不可能な非周期的振舞いということである。[3]



Deguchi Toshinori
1999年03月23日 (火) 16時14分02秒 JST