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3.2 カオス的挙動

カオス的挙動とは、先端鋭敏性をもつ振舞いのことである。先端鋭敏性とは、入力値がほんの少しでも違うと、その振舞いが、大きく変わることをいう。

例を挙げる。式(3.1)、図3.1のような出力値がそのまま次の入力値になるような系を考える。

  equation111

   figure115
図 3.1: カオス的挙動を与える入出力特性

   figure122
図 3.2: 初期値のわずかな違いによる系の挙動変化の様子

この式を用いて、実際に繰り返し計算をし、繰り返し回数 nn 回目の出力 tex2html_wrap_inline955 の関係を調べると、図3.2のように複雑な振舞いをしている。よってこの系は、カオスである。

また、この図の (a)、(b) ように初期値 tex2html_wrap_inline957 をそれぞれ 0.300000,0.300001 と、わずか百万分の一だけ異なっている値を使って計算し比較すると、n が 15 以下ではほとんど同じ挙動であるが、n が15以上では全く違った挙動となっている。

このようにカオスでは、初期値のわずかな誤差でも系の状態変化に、大きな影響を及ぼすことがわかる。このことからカオスは、不変の法則に支配される系にありながら法則性のない予測不可能な非周期的振舞いということである。



Deguchi Toshinori
1999年03月23日 (火) 16時14分02秒 JST