実験結果

   

式(5.3)の $ \Upsilon_{cha} $ の値を変えて記憶検索した時の成功率を、Table 6.2に示 す。左側の数値が学習させたパターンの順番を示し、右側は上に記した抑制値で検索が成功した ら◯、失敗したら×となり、◯と×の横に書いてある数字が、検索が成功するまでにかかった時間 である。ここで言う時間とは、ステップ数である。数値が書いていない場合は、ネットワークが答 えを発見できなかったため検索失敗とみなす。×の横に数値が書いてある場合は、ネットワークの 発見した答えが誤りであったため検索失敗であったことを示す。


表 6.2: Experiment Result 1
Number 0.8 0.8*$r_1$ 0.8*$r_2$ 0.8*$r_3$ $2*\cos (\mbox{step}/ \pi )$ $2*\sin (\mbox{step}/ \pi )$
1 × ◯:1,209 ◯:202 ◯:2,214 ◯:4,752 ◯:3,685
2 ◯:266 ◯:407 ◯:690 ◯:610 ◯:129 ◯:3,364
3 × ◯:847 ◯:412 ◯:731 ◯:2,164 ◯:108
4 × ◯:310 ◯:290 ◯:207 ◯:2,454 ◯:564
5 × ◯:291 ◯:217 ◯:37 ◯:1,990 ◯:215
6 ◯:209 ◯:217 ◯:2,354 ◯: 359 ◯:600 ◯:590
7 ◯:177 ×:269 ×:609 ◯:298 ◯:216 ◯:511
8 × ◯:324 ◯:390 ◯:180 ◯:328 ◯:5
9 × ◯:1,371 ◯:5,369 ◯:1,144 ◯:366 ◯:4,223
10 ◯:0 ◯:0 ◯:0 ◯:0 ◯:0 ◯:0
Success rate[%] 40 90 90 100 100 100

表にある$r_1,r_2,r_3$はそれぞれ範囲の異なる一様乱数を表しており、 $-0.5 < r_1 < 0.5 , -1 < r_2 < 1
, 0 < r_3 < 1$である。 表にある$\mbox{step}$は、関数が呼び出された回数を示しており、呼び出される たびにインクリメントされる。関数は、カオスニューラルネットワークの出力が更新されたタイミング で呼び出される。成功率は、記憶検索に成功したパターン数をパターン数の合計で 割ることで算出した。

Table 6.2より、ランダムパターンが10種類の場合の記憶検索は、抑制値が定数の場合のみ 成功率が極端に低く、乱数や三角関数を加えた場合は成功率が高くなることがわかる。乱数を 用いた場合の$0.8*r_1$$0.8*r_2$で、パターン7だけ検索に失敗している。しかし収束はしてい るので、原因は特徴抽出機構にあると思われる。

Deguchi Lab. 2017年3月6日