next up previous contents
Next: ユーザビリティ Up: 無題 Previous: 目次

序論

現在、私たちの身の回りには便利なものがあふれている。 冷蔵庫、洗濯機、エアコン、携帯電話、テレビなど。 そのどれもが様々な機能を有している。 しかし、その機能の全てを使いこなす事のできる人は少ない。 さらに、機械自体の操作方法は一般的に使われる頻度が高い機能ほど分かりやすく、使われる頻度が低い機能ほど分かりにくい。 今もなお、これらの機械の付加機能が増えている。 よって、さらに機能を使いきれる人というのは減っていくだろう。

また、より美しい外観を重視するあまり、日常的に使う道具が道具として使えなくなってしまっている。 例えばドアの取っ手である。 一般的なドアの使用方法は押すか引くか横へずらすかである。 人は取っ手の形状により瞬時に判断する場合が多い。 しかし、外観を重視して作られたドアの取っ手に戸惑い、操作を誤ってしまう人もいる。

この様に、今までは作り手のアイデアによって生み出された多くの機能や美しい外観を重視して道具が作られてきた。 しかし、それらの道具が利用者に混乱を与えていることも事実である。 本来、道具は人に合わせて作られる物であって、人が道具に合わせる必要はない。 決して、道具を道具として使いこなせない人が悪いのではない。

この様な考え方から、製品の性能や機能を表すユーティリティよりも、使いやすさや判りやすさを表すユーザビリティとう考えが重視されるようになってきた。

ユーザビリティという考え方が体系化されてきたのは1980年代頃で、当時のユーザビリティの考え方は使いにくさ、分かりにくさという問題を無くすこととして位置付けられていた。 Nielsenの概念体系によるユーザビリティというのが代表的例である。 しかし、この時期はいくら製品やシステムを評価する事によって問題点を見つけても直接企業に利益をもたらすものではないとして、消極的にしか受け取られていなかった。

これに対して、より積極的な意味合いを持たせ、製品やシステムを有効に効率的に満足を与えるようにすることである、と考えられるように1990年代の後半からなってきた。 そしてちょうどその頃ISO13407でユーザビリティが定義されユーザビリティはさらに注目されるようになってきた。

しかし、ただ機能を分かりやすく一つ一つのボタンに配置するのが一番良いわけではなく、また、むやみにまとめるのが良いわけではない。 そこで本研究では、このユーザビリティという言葉をキーワードに、人が感じる使いやすさ、理解しやすさについてどのような法則や傾向があるのかを調べる。

実験にはAdobe社製のアニメーション作成ソフトであるFlashを用いる。 FlashにはもともとWeb用のアニメーションを作るためのソフトだが、ActionScriptというスクリプト言語を備えており、ユーザからの入力を受け付けるインタラクティブなソフトを簡単に作成できる。 その特徴を生かし、ユーザがなんらかの操作を行うコンテンツを作成し、何人かに体験してもらいユーザビリティについてアンケートを行う。



Deguchi Lab.