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素子数の違いによる比率1:1の場合の学習への影響

素子数が50で「1」と「$-1$」の比率が1:1の場合、全てのパターン数において完全学習ができていた。 今までの研究では、素子数に対して1.5倍程度の学習パターン数までが完全学習可能であり、それ以降は学習能力が落ちるとされていた。 従って、素子数50 では約75パターンまでしか完全学習できないはずだが、それを超えて300パターンまで学習が成功したということは、 約75パターン を学習するまでの間に1:1の比率の性質の学習が完了していたと考えられる。 つまり、学習能力が落ち始める前に全ての結合荷重が負の一定値に収束したため、全てのパターン数で完全学習ができたと考えられる。

素子数を200にすると、学習パターン数が300以上になったところで学習能力が一気に落ちた。 しかし、素子数が増えても結合荷重が負の一定値に収束できるなら、完全学習はできるようになるはずである。 原因は、今回設定したパラメータが素子数が200の場合に適していなかったこと、学習回数が少なかったことなどが可能性として考えられる。 また、学習パターン数が300以上の所で、時々学習成功パターン数が増えている所がある。 この現象は、この後に示す実験2の結果(1:1以外の比率で検証した実験)には見られないため、これは1:1の比率が関係した特有の現象だと思われる。 従って素子数が200の場合、完全学習はできなくても、1:1の比率の影響を受けていると考えられる。

素子数が100の場合の結果も加えて考察すると、 今回設定したパラメータと学習回数では、1:1の比率の性質の学習が完了するのは素子数が50と100のときで、 素子数が200まで増えると性質の学習は完了しないことが分かった。 素子数が100でも、途中で少しだけ学習能力が落ちるところがある。 従って、素子数が増えると適するパラメータが異なってくることと、学習回数が多く必要になることが考えられる。



Deguchi Lab. 2016年3月1日