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カオス

カオス(chaos)は、混沌や無秩序といった日本語に訳される。 19世紀末から20世紀初頭にかけてのポアンカレ(Poincare)の研究以来、カオスの概念が研究の表舞台に登場してきた。 カオスとは、一般的に、決定論に従う力学系の解が、初期値に鋭敏に依存する予測不可能な振る舞いを示し、 そのアトラクタとしての次元が、非整数のフラクタル次元となる現象であるという定義がなされている。[7]

カオスは初期値鋭敏性を持っており、初期値の非常に小さな差が、将来の結果に多大な影響を生み出す。 カオス現象は、人工物、自然物を問わず非線形システムではよく生じるもので、例を挙げると炎の揺らぎや海岸に打ち寄せる波などがある。

また、カオスは生体の活動に対しても重要な役割を占めている。 例えば心臓の鼓動などがそれにあたる。 心臓の鼓動は常に一定ではなく、強弱や緩急が存在する。 刻々と変動して行く予測困難なこの働きは、自然環境の変化に対し一定の鼓動であるよりも柔軟に対応できるようになっている。 脳に関する範囲で言えば、ニューロン又はニューロンの集団が該当する。 「これらは単一の機能を持つように構築されるのではなく、 それらをとりまく脳内環境や外界の状況に応じて複数の機能を発現できるように構築されている。 さらにそれらの活動状態は時間的に複雑な振る舞いを示し、それらはカオス的遍歴と関係している。」 という津田の見解などがある。[7]



Deguchi Lab. 2016年3月1日