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1 序論

 

生物の脳,神経回路網をモデルとしたニューラルネットワークは最近,画像処理,パターン認識の分野で活躍している. 本研究では,そのニューラルネットワークをより生物に近付けようと考えられたカオスニューラルネットワークを用いた,サーチアクセスに関する研究を行う. サーチアクセスとは,あらかじめ複数のパターンを学習させ,検索したいパターンの特徴を入力することにより,目的のパターンを検索することである. 特徴を入力し,その特徴を持ったパターンを見つけ出すことができれば,検索成功である. 簡単なことに思えるが,普通のニューラルネットワークではそれができない. よって,カオスニューラルネットワークを用いることで対処している. これまでの研究[1, 2, 3]では,図 1のパターン1のような, サーチアクセスが成功しやすい特殊な四つのパターン,「バツ」,「三角」,「波」,「星」を相関学習によって学習させ,サーチアクセスを実現させている.

   figure13
図 1: 検索パターン

しかし,他のパターンで行っても,同じように成功するわけではない.

別の研究[4]では, パターンの相関内積とそのパターンの想起度を調べた結果, 直交より少しずれているパターンが成功しやすく, 完全な直交や直交より大きくずれている場合は, 成功しにくいことがわかっている. なお,この成功しやすい特殊なパターンも,すべて直交より少しずれている.

さらに,内積値によって想起に成功しやすいパターンの条件も求められている[3]. 直交したパターンが多い場合でも, シナプス前抑制の制御部分を変更することで,成功率を高めているが, 内積値の大きいパターンに対しては,解決できていない.

内積値の大きいパターンの検索を成功させる方法として, 一つはサーチアクセスそのものを変更する方法が考えられるが, 本研究では,検索が成功するパターンでサーチアクセスを行い, その出力パターンを検索させたいパターンに復号して出力する方法を考える. そこで本研究では,検索が成功する図 1のパターン1を, 図 1のパターン2に復号して出力するサーチアクセスを行ってみる.



Deguchi Toshinori
1997年03月18日 (火) 14時34分51秒 JST