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カオス的挙動

カオス的挙動とは,入力値が少しでも異なると, その振舞いが大きく変わることである. 例として,式(3.1), 図 3.1 のような出力値がそのまま 次の入力値になるような系を考える.

  equation97

   figure101
図 3.1: カオス的挙動を与える入出力特性

   figure108
図 3.2: 初期値のわずかな違いで起こる系の挙動変化の様子

この式を用いて,実際に繰り返し計算をし,繰り返し回数 nn 回目の出力 tex2html_wrap_inline1249 の関係を調べると,図 3.2 のように複雑な振舞いをしている. この系はカオスであることが知られている.

また,この図の (a),(b) ように初期値 tex2html_wrap_inline1251 をそれぞれ 0.300000, 0.300001 と,わずか百万分の一だけ異なっている値を使って計算し比較すると, n が 15 以下ではほとんど同じ挙動であるが, n が15以上では全く違った挙動となっている. このようにカオスでは,初期値のわずかな誤差でも, 系の状態変化に大きな影響を及ぼすことが示される.

このことからも, カオス状態においては, 実数のもつ無限の複雑さが次々に拡大されて, マクロレベルに現れる. カオスの完全な予測はディジタルコンピュータではその有限性のために, そしてアナログコンピュータではその不可解な雑音のために, 不可能なことが分かる[5].



Toshinori DEGUCHI
2004年 2月22日 日曜日 14時38分28秒 JST