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序論

神経回路網の研究が行なわれるようになった最大の動機は、人間の脳における情報処理機能の解明にあるといってよい。 また、脳の情報処理原理の工学的応用という側面ももっている。 すなわち、「人間の神経系を模倣した装置を構成すれば、人間と同様な情報処理が実現できるに違いない」という期待から、脳の研究を通じて現在のコンピュータが苦手とするような仕事をうまく処理するような新しい情報処理原理の構築をねらったものであった。[2]

そこで、人間(動物)の脳の仕組みを真似た情報処理技術であるニューラルネットワークが誕生した。 約140億個ともいわれる人間の脳神経細胞は、外界から受け入れた情報を、複雑に結び付いたネットワークによって並列分散処理を行なっている。

ニューラルネットワークは、神経細胞を模した人工のニューロンを適当に接続し、入力を出力に写像する情報処理系のことである。 ニューラルネットワークは、高速パターン認識や不完全なデータに基づく知識処理、適応学習能力などの面では優秀であり、近年では、認識技術や機械制御といった応用もなされている。

本研究では、昨年の研究で成果を上げた、内部記憶を持つニューラルネットワークを用いて、ゲームプレーヤーの制御を行ない、さらにより良い学習を試みた。 内部記憶を持つニューラルネットワークは、入力の時系列パターンを認識し、適切な出力を求めるのに効果を上げている。

昨年の研究では、内部記憶という点では時間的な要素を含むが、ゲームプレーヤーの教師信号は時間的な変化は考慮されていない。 また、ゲームを行なう上では満足な結果となっているが、少し不安定な部分も残り、完璧な学習はできてはいない。 そこで、教師信号に時間的な変化を考慮したものを考え、プレーヤーの時系列制御を行ない、内部記憶の学習効果よりも良い結果を出すことを目的とした。

そこで本研究では、昨年の研究で用いた教師信号に時間的な変化を考慮しないものと、今回新たに教師信号に時間的な変化を考慮したものを形成した。 この新たに形成した教師信号は、ターゲットの動きを予測するものである。 それぞれの教師信号において内部記憶を持つニューラルネットワークに学習をさせた結果から、比較、検討を行ない、ニューラルネットワークへの影響を調べた。



Toshinori DEGUCHI
2004年 3月22日 月曜日 11時57分15秒 JST