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3.3 カオスニューラルネットワーク

 

カオスニューロンのモデルを相互結合させ、 ネットワークを構成したものをカオスニューラルネットワークという。

カオスニューラルネットは次のような式で表される。

     eqnarray100

ここで、x(t+1)は時刻t+1でのニューロンの出力値、 f()は式(3.5)のようなシグモイド関数、

  equation109

Nは入力の数、 tex2html_wrap_inline1037 はニューロンjからニューロンiへのシナプス結合の強さ、 h()はニューロンの軸索の変換特性を表す関数、 tex2html_wrap_inline1045 は入力に関する減衰定数 tex2html_wrap_inline1047tex2html_wrap_inline1049 は不応性に関する減衰定数 tex2html_wrap_inline1051tex2html_wrap_inline1053 はニューロンの出力と不応性の大きさの関係を与えるパラメータ、 tex2html_wrap_inline1055 はしきい値である。

式(3.2)の 第1項 tex2html_wrap_inline1057 と第2項 tex2html_wrap_inline1059 は、 次に説明する カオスニューロンの2つの内部状態を表す。

式(3.3)は、 ニューロン間の相互結合を示し、 第1項は、 従来のニューロンと同様の他のニューロンからの入力信号の重みつきの総和である。 第2項は、 単位時間前の状態 tex2html_wrap_inline1061 を減衰定数 tex2html_wrap_inline1045 倍して加算することによって、 過去の状態の影響を与えている。

式(3.4)は、 不応性の状態を示し、 第1項は、 単位時間前の出力 tex2html_wrap_inline1065tex2html_wrap_inline1067 倍したもので、 ニューロンの出力が不応性に与える影響である。 第2項は、 相互結合と同様、 単位時間前の状態 tex2html_wrap_inline1069 を減衰定数 tex2html_wrap_inline1049 倍して加算することによって、 過去の状態の影響を与えている。 また、 第3項は、 しきい値である。

これらの内部状態は、 式(3.2)で加算され、 式(3.5)のシグモイド関数を通して、 ニューロンiの出力 tex2html_wrap_inline1075 となる。

不応性の項 tex2html_wrap_inline1057 が ニューロン間の相互の力の項 tex2html_wrap_inline1057 より相対的に大きいとき、 カオスニューラルネットのカオスが激しくなり、 ネットワークは記憶したパターンを含む非周期的なパターンの系列を想起する。 時空間の加算の項が相対的に大きいときは、 静的な自己想起となる。

結合荷重の大きさを変化させると、 ニューロン間の相互の力の大きさが変わり、 これにより、 ネットワークの状態を制御することができる。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 09:01:14 JST 2000