カオスニューロンのモデルを相互結合させ、 ネットワークを構成したものをカオスニューラルネットワークという。
カオスニューラルネットは次のような式で表される。
ここで、x(t+1)は時刻t+1でのニューロンの出力値、 f()は式(3.5)のようなシグモイド関数、
Nは入力の数、 はニューロンjからニューロンiへのシナプス結合の強さ、 h()はニューロンの軸索の変換特性を表す関数、 は入力に関する減衰定数 、 は不応性に関する減衰定数 、 はニューロンの出力と不応性の大きさの関係を与えるパラメータ、 はしきい値である。
式(3.2)の 第1項 と第2項 は、 次に説明する カオスニューロンの2つの内部状態を表す。
式(3.3)は、 ニューロン間の相互結合を示し、 第1項は、 従来のニューロンと同様の他のニューロンからの入力信号の重みつきの総和である。 第2項は、 単位時間前の状態 を減衰定数 倍して加算することによって、 過去の状態の影響を与えている。
式(3.4)は、 不応性の状態を示し、 第1項は、 単位時間前の出力 を 倍したもので、 ニューロンの出力が不応性に与える影響である。 第2項は、 相互結合と同様、 単位時間前の状態 を減衰定数 倍して加算することによって、 過去の状態の影響を与えている。 また、 第3項は、 しきい値である。
これらの内部状態は、 式(3.2)で加算され、 式(3.5)のシグモイド関数を通して、 ニューロンiの出力 となる。
不応性の項 が ニューロン間の相互の力の項 より相対的に大きいとき、 カオスニューラルネットのカオスが激しくなり、 ネットワークは記憶したパターンを含む非周期的なパターンの系列を想起する。 時空間の加算の項が相対的に大きいときは、 静的な自己想起となる。
結合荷重の大きさを変化させると、 ニューロン間の相互の力の大きさが変わり、 これにより、 ネットワークの状態を制御することができる。