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4.4 考察

4.3,4.4,4.5 のグラフから、 検索したいパターンの適切な特徴を選定し、 ネットワークの出力パターンから抽出した特徴との 比較結果からシナプス抑制信号を計算し、 シナプス前抑制を行なうことで、 目的のパターンを検索することができることが分かる。 また、 検索させたいパターンや特徴の選び方によって、 検索が終了するまでの時間に違いが見られるものの、 どのパターンについても、最終的に 検索成功率は100% となることが分かった。

しかし、 選出した特徴によっては、 他のパターンとはっきりと区別できている特徴であっても、 検索が成功しない場合があった。 そのときの結果を調べてみると、 ネットワークはパターンの白黒が反転したパターンに収束していた。

検索が失敗してしまった理由としては、 ネットワークの学習法に相関学習を用いたため、 ネットワークは学習パターンだけでなく、 その反転パターンまで学習してしまい、 想起段階で反転パターンも想起されてしまったからだと考えられる。 そのため、 図4.6 の例では、 入力した特徴は2列目のパターンの額のあたりの白いところのみを抽出したため、 反転した1列目のパターンと特徴が似てしまったため、 ネットワークは反転した1列目のパターンに収束してしまったと考えられる。

実験で用いた各パターンの特徴の選定の時は、 上で述べたことを踏まえて、 反転パターンについても、 特徴が重ならないように選定したが、 これは特徴選定時に余計な労力が必要となって、 作業効率が悪い。 ゆえに、 学習パターンの中だけで、 明確な区別できる特徴を選定することが理想的なので、 ネットワークが反転パターンに収束しないようになるのが望ましい。

以上のことから、 出力パターンから特徴を抽出するときに、 その出力が反転パターンかどうかを検出することができれば、 ネットワークの出力が反転パターンのとき 強制的にネットワークを収束させないようにして、 ネットワークは反転パターンで収束することなく、 検索は続行され、 最終的に検索に成功するのではないかと期待できる。

よって、 このことを確かめるために、 次章では、 反転パターンを検出する機能を取り入れた場合について、 追加実験を行なう。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 09:01:14 JST 2000