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第1章 序論

  生物の脳,神経回路網をモデルとしたニューラルネットワークは最近, 画像処理,パターン認識の分野で活躍している。

本研究では,そのニューラルネットワークをより生物に近付けようと考えられた, カオスニューラルネットワークを用いたサーチアクセスに関する研究を行なう。

サーチアクセスとは,あらかじめ複数のパターンを学習させ, 検索したいパターンの特徴を入力することにより, 目的のパターンを検索することである。 特徴を入力し,その特徴を持ったパターンを見つけ出すことができれば, 検索成功である。 簡単なことに思えるが,普通のニューラルネットワークではそれができない。 よって,カオスニューラルネットワークを用いることで対処している。

昨年までの研究[1, 2]では,図 1.1 のような, サーチアクセスが成功しやすい特殊な四つのパターン,「バツ」,「三角」, 「波」,「星」を相関学習によって学習させ,サーチアクセスを実現させている。

   figure22
図 1.1: 特殊なパターン

また,パターンの相関内積と成功率の関係を調べている[3]。 相関内積とは,パターンの黒を 1 白を -1 とした時, 各成分ごとの積をとりその和をとったもので, 普通のベクトルの内積の計算と同じである。 また,内積値が 0 になる場合,そのベクトルは互いに直交しているように, パターンの相関内積が 0 になることを直交するという。 サーチアクセスを行い相関内積の関係を調べた結果, 直交より少しずれているパターンは成功しやすく,直交していたり, 大きくずれているパターンは成功しにくいということがわかっている。

そこで,本研究では,以上のことを考慮して,次のような研究を行なう。

  1. 乱数を使ったパターンを作成 
  2. 相関内積の計算・内積値の変更 
  3. サーチアクセスの実行 
  4. 内積値ごとに成功率を分類 
  5. 成功率を高めるための検討・改良 
まず,多くのパターンを使って成功率を調査するので, 1 では,異なったパターンを作成できるように, 乱数を使ったプログラムを完成させる。 2 では,そのプログラムで作成したパターンの内積値を求め, 調査の仕方によっては, 必要に応じて内積値の条件を満たすようにパターンを変更するプログラムを作成する。 3 でそのパターンを使って実際に検索を行ない, 4 でその結果をまとめる。 最後に,5 でその結果について考察し, 可能であれば改良を行なう。



Deguchi Toshinori
1996年09月05日 (木) 11時50分24秒 JST