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Next: 7.3.3 直交数と内積平均の範囲を限定した場合 Up: 7.3 調査結果 Previous: 1 パターン 3 通りの内積平均による方法

7.3.2 直交したパターンを含む場合

 

「直交したパターンは成功しにくい」ことはわかっているが,4 パターンあたりの 直交数により,どの程度想起に成功するかを調べる必要がある。 ここでは,この直交数を変えて調査を行なう。

そこで,直交の数が 1 から 6 までの 6 通りについて tex2html_wrap_inline2677 のパターンを 作成し,同じように検索を行なった。

まず,直交数を区別せずに,すべてを一緒にまとめると, 図 7.7, 7.8 の「全範囲」となる。 内積値が小さいほど,成功率が悪くなっている。 また,この場合も,直交を含まない場合と同じように 12 を境に成功率が大きく 変わっているので, 内積値が 12 以下を「直交に近いパターン」と考えた方が良いことがわかる。

   figure871
図 7.7: 相関内積と想起成功率の関係(直交あり,1 パターン 3 通り)

   figure878
図 7.8: 相関内積と想起時間の関係(直交あり,1 パターン 3 通り)

また,同じように内積平均が 12 以下のみでまとめると,この 図 7.7, 7.8 の「12 以下」のようになる。 この場合,内積平均 8 前後の成功率が高くなっている。 しかし,4 より小さくなるにしたがって,範囲の限定の有無に関わらず, 成功率が悪くなっている。 よって,確かに直交に近くなるにしたがって,想起しにくくなることがわかる。 しかし,内積値が大きい時のように全く想起されないということはない。 また,想起時間も短縮されているが,成功した場合は内積平均に関わらず, ほぼ一定の時間で想起している。つまり, 内積値の大きいものを含むパターンのように,長時間かかることがない。

次に,前節で調べた直交を含まないパターン(直交数 0)も合わせて, 直交数と成功率,想起時間の関係についてまとめると, 図 7.9, 7.10 のようになる。 この場合も「全範囲」と「12 以下」を比較した。

   figure889
図 7.9: 直交数と想起成功率の関係

   figure896
図 7.10: 直交数と想起時間の関係

「全範囲」では, 成功率は 0.6 前後で,時間はかえって直交数が少ない方がかかることになる。 「12 以下」でまとめると,直交数が少ないほど成功率が高くなるが, 成功した時の想起時間は,直交数に関わらずほぼ一定となっている。

以上の結果から,直交が含まれていても直交数が少なければ,成功率が高くなる。 つまり,「成功率が悪い直交したパターン」とは,直交数が 5, 6 のような多いもの であるといえる。 また,直交しているパターンが多くても,成功率を高めれば, 短時間で想起できる理想的なパターンになると考えられる。 なお,この改良は,第 8 章で行なう。

次節では,直交数と内積平均をさらに限定し,成功しやすいパターンを求める。



Deguchi Toshinori
1996年09月05日 (木) 11時50分24秒 JST