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4.1 カイアニエロのモデル

  ニューロンの数学モデル研究の上で, 歴史的に重要なモデルの一つに, 「カイアニエロ(Caianiello)のモデル」がある。 本研究では, このカイアニエロのモデルを用いてニューラルネットワークを構成する [10]。

脳の基本素子であるニューロンの動作を, ニューロコンピューティング研究の立場から一言で表現すれば, 「多入力− 1 出力の非線形素子」ということになるが, その実態は精密な生体分子機構に基づく複雑な高機能素子である。 したがってニューロンの数学モデルは, 定性的で単純なモデルから, 現実の生物のニューロンに近い定量的で複雑なモデルまで, そのスペクトラムは広い。 そこで,第 3.2 節でのべたような神経細胞の機能を, どのようにモデル化するかが問題となる。

以下にそれらのうち一部を考慮した例であるカイアニエロのモデルを示す。

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このモデルは,第 3.3 節で述べたような, 出力関数が不連続な階段関数で, ニューロンの出力は,1 又は 0 の 2 値である。 このようにしきい値を境にして,活動電位の発生, 非発生が不連続にわかれるダイナミクスを「全か無かの法則」と呼んでいる。



Deguchi Toshinori
1998年03月12日 (木) 16時16分01秒 JST