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KOSEN-1がついに打ち上げ!
2021-10-20

サンプルイメージ

 SERAの会員も開発に携わった木星電波観測技術実証衛星 KOSEN-1が、イプシロンロケット5号機によって打ち上がります!打ち上げ日の詳細は、JAXA特設サイトや、プレスリリースなどをご確認ください。
 本記事では、実際にKOSEN-1の開発に携わった会員3人へ直撃インタビューを行い、彼らが開発の際に苦労したこと、なぜ宇宙開発に興味を待ったのかなどを紐解いていきます。
 衛星の開発の奥深さを少しでもお届けできればと思います。

画像:菅原達弥(群馬高専)

KOSEN-1とは?

木星電波観測技術実証衛星 KOSEN-1

 KOSEN-1の正式名称は木星電波観測技術実証衛星 KOSEN-1です。木星から届く電波の観測を行います。 高知高専・群馬高専を中心とする10高専連携の超小型人工衛星がJAXA革新的衛星技術実証2号機の実証テーマに選定されたことにより、開発が始まりました。 国立高専が連携して打ち上げる超小型衛星(キューブサット)としては今回が初めてであるため、高専連携技術実証衛星1号機(KOSEN-1)とも呼ばれています。
 KOSEN-1のテーマは、「2Uキューブサットによる超高精度姿勢制御・超小型LinuxマイコンボードによるOBC・木星電波アンテナ展開技術の実証 (JAXAのページより抜粋)」です。 これまでに衛星への搭載例がなかった超薄型のデュアル・リアクションホイールを用いた超高精度の姿勢制御を行うなど、革新的な実証実験を複数行います。

革新的衛星技術実証プログラム

 KOSEN-1を含む9機の衛星で構成されるJAXA革新的衛星技術実証2号機は、JAXAの行っている「革新的衛星技術実証プログラム」の2回目のプロジェクトとなります。 このプログラムは、「『産業・科学技術基盤を始めとする宇宙活動を支える総合的な基盤の強化』の一環として、大学や研究機関、民間企業が開発した部品や機器、超小型衛星、キューブサットに宇宙実証の機会を提供する(JAXAのページより抜粋)」ものとなっています。
 1回の打ち上げで、複数の部品や機器、小型衛星を宇宙に届けます。

もっと知りたい!

 SERAでの活動についての詳細はこちらからご覧ください。
 革新的衛星技術実証2号機についてもっと知りたい!という方は、JAXAのページをご覧ください。

開発者へ直撃インタビュー!

構造解析担当:機械工学科 服部 慶士郎さん

ー KOSEN-1ではどのような担当をされましたか?
 主に、解析ソフトを用いて固有振動数などを解析する構造解析を担当しました。

ー KOSEN-1を開発する際に必要な知識や技術は、どこで学ばれましたか?
 使用するソフトの資料などを用いて独学で勉強しました。分からないところは、関係する先生方や学生の方々にご協力を頂いて学んでいきました。

ー 自らも手掛けた衛星が完成した感想を教えてください。
 自分が仕事を全うできたという安堵感がありました。また、様々なところからご協力を頂けたので、感謝の気持ちで一杯でした。

ー KOSEN-1での経験を、次はどのようなことに生かしたいですか?
 現在進行形で、KOSEN-1に続いてKOSEN-2を製作しています。これからも色々なことに関わっていくと思います。その時、今回の経験で培った自分自身の能力を活かしていけたらと思います。

ー 最後に、今回の打ち上げで宇宙工学に興味を持った学生、高専に興味を持った学生に一言お願いします!
 高専はやりたいことを1つに絞らなくてもいい場所です。色んなことに興味を持って、比較的自由に始められる所です。このSERAもその1つです。大変なこともありますが、自分のしたいことのために頑張れるなら、高専という選択肢もありではないでしょうか。

レポーター 池田 光詠

カメラ開発:電子制御工学科 古田 雄大さん

ー KOSEN-1のプロジェクトに参加したきっかけは何ですか?
 宇宙が好きだからです。とても貴重な機会になると思って参加しました。

ー 具体的にどんな作業をしましたか?
 岐阜高専としてKOSEN-1カメラで撮った画像のファイルサイズ圧縮システムを作成しました。宇宙で撮影した写真を地上に送るためにはファイルのサイズを小さくしないといけません。Pythonでプログラムを書き、jpeg2000というツールを組み合わせてシステムを作成しました。

ー KOSEN-1を作成するために必要な知識は、学校で得たのですか?
 はい。学校で学んだプログラムの考え方や無線の知識がベースとなっています。さらに、宇宙工学研究会で得た専門的な技術や自分で調べて得た知識を合わせてKOSEN-1の作成を進めていきました。

ー KOSEN-1が完成した感想を教えてください。
 達成感がありました。時間的にも内容的にも厳しい条件が多くありましたが、そんな中でも自分が納得できるシステムが完成して良かったです。

ー 宇宙工学に興味を持ったきっかけは何ですか?
 小学生の時、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館ではやぶさ1の展示を見て綺麗だと感じたことが始まりです。星や月を見るのも好きでした。そして、岐阜高専で宇宙工学研究会に入って今に至ります。

ー 最後に宇宙工学に興味がある人、高専に興味がある人に一言をお願いします!
 宇宙には夢とロマンがあります。ぜひ宇宙工学研究会の活動に参加してみてください!また、宇宙工学に関わらず、自分が熱中できるものを探してみてください。そうすることで、時間を有意義に使うことができると思います。

レポーター 深川 陽太郎

カメラ開発:機械工学科 櫻井 晴生さん

ー KOSEN-1では具体的にどんなことを担当していますか?
 衛星完成まではカメラのプログラムの作成を担当していました。打ち上がってからは、カメラのプログラムを起動させて宇宙や地球を撮影しています。

ー 難しかったこと・大変だったことは何ですか?
 「100%確実に誤作動しないプログラム」を作ることです。地球上での作動ならその都度修正ができますが、衛星は一度宇宙に行ってしまえば修正がききません。ですので、一つのミスも許されず、どんな状況でも作動するように何度も作成と実験をしました。この作業が結構大変だったと思います。

ー KOSEN-1が完成し、最初にどんなことを思いましたか?
 実際に形となり、とても感慨深い気持ちになりました。そして、打ち上げ後に行うミッションに対し、より一層の使命感を感じました。

ー 最後にKOSEN-1の次にしたいことを教えてください!
 実際に衛星開発を行っていると自然と改良点が見えてきたので次の衛星開発まで直してさらにいいプログラムをかけるようになりたいです。また、得られたことを自分だけ知っているのは勿体ないので、次の開発メンバーにも引き継いでいきたいです。

レポーター 山本 茉弘

これからの見どころ

 最後に、プログラムの開発に携わった櫻井さんに、これからの見どころについても話してもらいました。

 「まずそもそも、高専生(10代)が作成したシステムが宇宙で本当に動くかどうかが注目されるところです。 今回打ち上げられる衛星では、アンテナの展開や姿勢の制御など、初めての試みが行われます。これらがしっかりと作動するだけでも大きな功績になります。 しかし、一部だけ動かないというだけでも大きな損失となってしまうので、正常に動くかどうかがまず一つの大きな壁になると思います。」
 「岐阜高専は軌道の設計・熱設計・プログラムの作成の一部を担当していましたが、KOSEN-1にはカメラを用いた撮影というミッションがあります。 本来は、機体の状態を確認するためのシステムなのですが、これで宇宙の写真や地球の写真を撮れるのかが期待されているポイントの一つです。 宇宙からの画像を撮影出来る機会なんて滅多にないので、ぜひとも成功させたいところです!」

 このように熱く語ってくれました。
 自らのやりたいことを追い求めることの強さ、本物の衛星を作る責任感はどれほどのものなのかを改めて知ることのできたインタビューでした。「学生でも衛星を開発することが出来る!」という夢が広がっていくことを強く願っています!
 服部さんへのインタビューでもあったように、KOSEN-1に続いてKOSEN-2の打ち上げも決まっており、現在岐阜高専も開発に参加しています。今後の展開がますます楽しみです!

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