本研究で用いたカオスニューラルネットワークモデルが図5.1で、相互結合型ネットワークである。vをニューロンによらず一定値をとるものとしてi番目のニューロンのダイナミクスは式(5.1)となる。また出力関数は式(3.5)で与えられるシグモイド関数を用いた。
通常の連想記憶モデルでは入力パターンは初期入力としてのみ用いることが多いが、ここでは外部入力として入力パターンを継続的に与える。また、従来のカオスニューラルネットワークを用いた連想記憶モデルの多くはニューロンの出力に関してのみ時間加算を考慮しているのに対し、式(5.1)では外部入力に関しても時間加算を考慮している。式(5.1)の各パラメータの値を表5.1のように決めた。この値がカオスを簡単に生成するために重要である。
本研究の実験で使用したパターンは、7*7の白いマスを黒の点と黒に塗りつぶしている。パターンを入力する時には一つのマスを一つのニューロンに入力し、黒の点のマスを-1、黒に塗りつぶされたマスを+1として入力する。既知パターンを図5.2のA,B,Cと決め、未知パターンを図5.3のa,b,cと決めた。このパターンの相似度を表5.2に示す。相似度が大きいほどそのパターン同士は似ているということになり、同じマスのニューロンへの入力が同じ部分が多いということである。一番大きい71.42 では49個あるニューロンのうち35個のニューロンの外部入力が同じである。そのため相似度が大きいほど入力パターンにノイズや欠落が存在する時に正しいパターンを認識しにくくなる。
相似度[ ![]() | ||||||
A | B | C | a | b | c | |
A | 100.00 | 48.94 | 55.10 | 63.27 | 71.42 | 46.94 |
B | 48.94 | 100.00 | 65.31 | 63.27 | 71.42 | 46.94 |
C | 55.10 | 65.31 | 100.00 | 42.84 | 63.27 | 59.18 |
a | 63.27 | 63.27 | 42.84 | 100.00 | 71.42 | 67.35 |
b | 71.42 | 71.42 | 63.27 | 71.42 | 100.00 | 59.18 |
c | 49.94 | 46.94 | 59.18 | 63.75 | 59.18 | 100.00 |