逐次学習法はへッブの学習仮説を応用した学習法であり、カオスニューラルネットワークの学習に有用である。逐次学習法では、ネットワーク中のあるニューロンiの外部入力項 と、iに対して結合しているニューロンjの出力
が同符号であれば結合荷重を増加させ、異符号であれば減少させる。結合荷重の増加は結合荷重の符号が正(興奮性)であれば結合の強化を、負(抑制性)であれば弱化を意味し、結合荷重の減少は結合荷重の符号が正(興奮性)のとき結合の弱化を、負(抑制性)のとき強化を意味する。
一度に だけ結合荷重を増加・減少させるとし、変化前のニューロンjからニューロンiへの結合荷重を
、変化後の結合荷重を
と表すと、逐次学習法の結合荷重の変化則は以下の式により表現される。
ただし、この変化則は常に適用されるわけではなく、以下の条件式が成立するときのみ適用され、結合荷重を変化させる。
ネットワークに対する外部入力の列(パターン)が既知である(既に学習している)とき、全てのニューロンにおいて外部入力項 と相互結合項
とは同符号となり条件式(4.2)は成立しない。ところが、パターンが未知である(未だ学習していない)とき、いくつかのニューロンにおいて外部入力項
と相互結合項
が異符号となりそのニューロンの結合荷重は式(4.1)に従い変化する。
また、条件式(4.2)において相互結合項 と不応性項
との和を用いているのは、相互結合項
の絶対値が不応性項
の絶対値よりも小さい場合にも学習を行なうことでパターンの記憶をより強めるためである。