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: カオスニューラルネットワーク : ieiri_ad2 : 目次   目次


序論

ニューラルネットワークは、動物の神経細胞のいくつかの性質を モデル化した素子から構成されるネットワークである。 学習・記憶などの機能を実現し、文字認識などの実用に供されている。

カオスニューラルネットワークはニューラルネットワークの一種であるが、 その素子は一般的なニューラルネットワークを構成するそれと比較して 実際の神経細胞により近い性質を有する。 (これについては 2章「カオスニューラルネットワーク」で詳述する。) そのために、カオスニューラルネットワークにおいて、動的想起と呼ばれる現象が特有に観察される。 動的想起は、ネットワークが外部からの入力なしに過去に学習したパターンを ランダムに出力してゆく現象である。 ただし過去に学習したパターンの全てが出力されるとは限らない。

動的想起を利用した技術にサーチアクセスがある。 サーチアクセスでは、検索したいパターンそのものが判然とせずパターンの特徴のみが明らかなとき、 動的想起により想起されていくパターンの特徴と比較することで検索したいパターンを求める。 そのためサーチアクセスでは学習したパターンはより多く(理想的には全て)出力されることが望ましい。

そこで動的想起において出力されるパターン数を増加させることを考える。 しかし、ネットワークのサイズ=素子数を増加させた場合、 ネットワークの記憶容量(学習し得るパターンの数)が増加する一方で、 必ずしも動的想起のパターン数は増加しないということが、過去の実験によって明らかとなっている。 また、パターンの学習法として利用している逐次学習法のパラメータの一つ、 結合荷重の変化量を適切に設定することで、素子数の増加に伴って 動的想起のパターン数が増加するらしいことも判っている。 (動的想起や逐次学習法については 3章で説明する。)

これらのことを背景として本研究では、動的想起にとっての適切な結合荷重の変化量がいくらであるのかを 明らかにすることを目的とする。 そのため素子数や結合荷重の変化量、学習させるパターンなどをいくらか変えて実験を行った。 ( 4章「実験」、 5章「結論」)



Deguchi Lab. 平成20年2月29日