本研究では動的想起にとっての適切ながどの程度であるのかを
明らかにすることを目的として、実験を行った。
実験1ならびに実験2では、素子数50から600まで50刻み、を0.00625から0.05まで
0.00625刻みの96通りの場合について、相関値50%のランダムパターンを学習させ、
動的想起でどれだけのパターンが出力されるかを測定した。
ただし、実験1と実験2では学習させるパターンの組を変えた。
その結果をまとめると以下のようなことが言える。
1.のように素子数が少ないときに動的想起の結果が学習させるパターンに 左右されるのは、素子数が少ない場合、パターン中のひとつの値が全体に対して 占める割合が大きいためではないかと思われる。
1.(素子数が少ないとき学習させるパターンによって 動的想起の結果が左右されること)が言えるとすると、本研究の実験に限らず、 (学習させるパターンとのかかわりについて調べる場合を除いて) 動的想起の評価に関する実験の際、素子数のある程度大きなネットワークを 用いるか、同様の実験をパターンを十分な回数変えその結果の平均を取るかしなければ 有効な結果が得られず、正しく「動的想起状態が改善された」といった 評価を下すことができないことになる。
実験3では、実験1、2と同様の実験を、学習させるパターンの相関値を75%として行った。 しかし時間的な制約のため、素子数400の場合についてのみ調べた。 本来、他の素子数について、また、学習させるパターンの組を変え、 相関値もさまざまの場合を調べた上でなければ断言できないことであるが、 あえて実験3の結果を押し広げて考えたとすると、以下のようなことが言える。
動的想起にとって適切なは素子数や学習させるパターンによって
決まるものと予想して実験を行ったのであった。しかし実験の結果、
(素子数が少ないときはパターンに左右されて最適な
が定まらない、というより、
どの
を採用しても大差ないものとして、素子数の多いところに限って言えば)
素子数にもパターンにもかかわりなく0.01875あたりになるらしいことがわかった。
今後の課題としては、先に挙げたように他の相関値のパターンを学習させた場合についても
(素子数の多いところで)適切なが同様に0.01875程度であるかどうかを確認し、
同様であるなら、なぜそのあたりの値が「適切」であるのか、
その値が素子数でもパターンでも無い何によって決定されているのかを
明らかにすることが挙げられる。