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3.1 ニューロンとは

  ニューロンとは生体の中で情報処理用に特別な分化をとげた細胞である。 簡単にいうと神経細胞である。 [4]

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図 3.1: 神経細胞

ニューロンは図 3.1 に示すように、 核が存在する細胞体の部分と、 複雑に枝分かれした樹状突起と呼ぶ部分、 同じく本体から一本だけ出ていて末端で多数に枝分かれをする軸索と呼ぶ部分 の三つに分けられる。 軸索は細胞体本体からの信号を他のニューロンに伝える出力用の線維である。 樹状突起は他のニューロンからの信号を受けとる部分である。 すなわち、他のニューロンの軸索の末端がここに結合している。 この結合部をシナプス(synapse)という。

ニューロンの動作の基本過程は電気現象である。 興奮すると軸索に信号(電気パルス列)を送り出し、 興奮していない時はほとんど出さない。 この電気パルスを1と0に量子化された信号と考え、 興奮状態、およびその時送り出される信号を1、 非興奮状態、およびその時送り出される信号を0とした。 そして、 受けとった信号の総和がニューロン毎に決められたしきい値を越えると興奮し、 その値以下ならば興奮しないと考え、 ニューロンのモデル化を行なう。

ニューロンは多くのニューロンから入力を受けて一つの出力を出すことから、 多入力1出力の素子であると考えられる。 ニューロンは他のニューロンからの信号を受けとり、 それを重み(荷重)つきの総和という形で総和し、 その結果興奮するかを決める。 ここで重みというのは、 「他のニューロンの出力を、 どの程度の割合で受けとったニューロンの入力とするか」 この割合を示す値である。 重みはニューロン間それぞれによって異なる値をとると考えられている。

ここで1つのニューロンが n 個のニューロンから入力を受けているとする。 i 個目のニューロンの出力を tex2html_wrap_inline1370 (1≦in)、 それぞれの重みを tex2html_wrap_inline1374 と表すと、 もっとも単純には i 番目のニューロンからの入力は、 tex2html_wrap_inline1378 と表される。 この重みはシナプス荷重とも呼ぶ。 今、簡単のために各細胞からの入力 tex2html_wrap_inline1378 が単純に加算されたもの ( tex2html_wrap_inline1382 )がそのニューロンの入力の総和になるとする。 そしてその総和がしきい値 tex2html_wrap_inline1384 を越えた時に、 ニューロンが興奮するものと考える。 さらに軸索は減衰のないものと仮定する。



Deguchi Toshinori
1997年03月04日 (火) 08時34分02秒 JST