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: 学習と想起 : カオスニューラルネットワーク : カオスニューロンモデル   目次


カオスニューラルネットワーク

先で述べたカオスニューロンモデルの相互結合系として、カオスニューラルネットワークモデルが構成できる。図 3.4のような相互結合型のニューラルネットワークは、ネットワーク内のニューロンをお互いに対等に結合し合っている。これでは原則として、ネットワークの構成要素である各ニューロンは、他の全てのニューロンと結合しており、各ニューロンの出力が平衡な値に収束することで情報処理が完了する。全てのニューロンがそれぞれ入力を受け、出力を出す。

図 3.4: 相互結合型ニューラルネットワーク
\includegraphics[scale=1.0]{eps_file/network.eps}

ネットワークにおいてニューロンが、外部の信号と他のニューロンの出力を入力として受けるとする。すなわち先に示したカオスニューロンの式(3.2)の入力$S(t)$を、外部の信号と他のニューロンとに分けて表す。


$\displaystyle \begin{array}{l}
x_i(t+1) = f(y_i(t+1))\\
y_i(t+1) = \xi_i(t+1)+\eta_i(t+1)+\zeta_i(t+1)
\end{array}$     (9)

$x_i(t)$は時刻$t$での$i$番目ニューロンの出力を、$y_i(t)$は時刻$t$での$i$番目ニューロンの内部状態を表す。また$i$番目のニューロンの内部状態を、外部入力に関する項$\xi_i(t)$、他のニューロンからのフィードバックに関する項$\eta_i(t)$、不応性に関する項$\zeta_i(t)$の3つの項に分け、それぞれ以下の式(3.6)で表す。


$\displaystyle \begin{array}{l}
\xi_i(t+1) = \sum_{j=1}^{M}{v_{ij}}\sum_{d=0}^{t...
...}\\
\zeta_i(t+1) = -\alpha\sum_{d=0}^{t}{{k_r}^dx_i(t-d)}-\theta_i
\end{array}$     (10)

なお式(3.6)中の各記号の意味は下記の通りである。

$M$
外部入力の数
$N$
ネットワークを構成するニューロンの数
$k_e$
外部からの入力に対する時間減衰定数
$k_f$
他のニューロンからの入力に対する時間減衰定数
$k_r$
不応性の時間減衰定数
$A_j(t)$
j番目外部入力
$v_{ij}$
j番目外部入力との結合係数
$w_{ij}$
j番目ニューロンからの結合係数
$\alpha$
不応性の項をスケーリングする定数
$\theta_i$
閾値



Deguchi Lab. 平成21年3月6日