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: ニューロンモデル : ニューロンとニューラルネットワーク : ニューロンとニューラルネットワーク   目次


ニューロン

ニューロンは神経細胞とも呼ばれ、生物の中で情報処理を担う細胞である。ニューロンは図 2.1に示すような構造をしており、細胞体、樹状突起、軸索の三つの部分に分かれる。

図 2.1: ニューロンの構造
\includegraphics[scale=0.5]{eps_file/neuron.eps}

神経細胞は細胞体と呼ばれる本体、本体から突き出した樹状突起、他の細胞へ繋がる軸索からなる。本体中央には核があり、この神経細胞は細胞膜で囲まれている。樹状突起または細胞体で入力信号を受け、細胞体で信号処理し、軸索を通して出力信号を出している。脳の神経細胞の数は人間の場合に100億から1000億程度であるといわれている。そして各神経細胞が並列で分散して情報処理を行っている。

図 2.1に示したように、軸索はその末端がほかの神経細胞の樹状突起または細胞体に付着している。軸索とほかの神経細胞との結合部分をシナプスという。1つの細胞の出力はシナプスを介して他の細胞に伝えられる。軸索は十から数百に分岐しており、1つの細胞が受けるシナプス結合の数は数百から数万に及ぶ。

神経細胞内にはカリウムイオンが多く、体液中にナトリウムイオンが多く含まれる。神経細胞の内部と外部の体液には電位差がある。体液に対する細胞内部の電位を膜電位という。この電位差は上記イオンに対する膜の透過性によて決定される。そして、入力信号のないときの膜電位を静止電位といい、通常は$-70$mV程度である。

神経細胞では他の神経細胞から信号が到着すると、その影響で膜電位が変化する。膜電位が$-55$mV程度まで高くなれば細胞膜のイオン透過性が変化し、その結果ナトリウムイオンを細胞体内に取り入れて膜電位が正にまで達し、続いてカリウムイオンが細胞膜の外に流出し再びもとの電位に戻る。膜電位がこのように高い値になった状態を、神経細胞は興奮したまたは発火したという。また正になったときの膜電位を活動電位といい、これが発生した直後は次の活動電位が生成されにくい期間があり、不応期と呼ばれる。



Deguchi Lab. 平成21年3月6日