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実験結果

実験2の結果を図5.4と図5.5に示す。縦軸と横軸は実験1と同じで,グラフ左上の数字は$\Delta w$の変化させる幅である。また項目が多いため,図を2つに分けて示している。図5.4では$\Delta w$を変化させる幅が $0.5\times10^{-6}$から $3.5\times 10^{-6}$の場合を示し,図5.5では $4.0\times 10^{-6}$から $10.0\times10^{-6}$の場合を示している。

図 5.4: $\Delta w$ の変化の幅による学習結果の比較(1)
\includegraphics[scale=1.0]{data/comp2.eps}

図 5.5: $\Delta w$ の変化の幅による学習結果の比較(2)
\includegraphics[scale=1.0]{data/comp2-2.eps}

これらのグラフから,$\Delta w$を変化させる幅が大きいと学習能力が下がってしまうということがわかる。変化させる幅が小さい場合を載せた図5.4では,$\Delta w$が一定の場合よりも良い結果を出しているものがいくつか見られる。しかし,図5.5では,一定の場合よりも良いものがひとつも見られない。そして,変化させる幅が大きくなるにつれて,学習能力が下がっていることがわかる。さらに見ると,幅が $7.0\times 10^{-6}$になると学習に成功したパターン数が急激に減少しており,ついに $8.0\times 10^{-6}$からは全く学習できなくなっている。このことから,$\Delta w$を変化させる幅が大きすぎると,学習能力が低下してしまう場合があると考えられる。

変化の幅が小さいものは,図5.4では大きな違いは見られない。これらを比較してどの値が良いかを検討するには,図5.6と表5.4を見て考えてみる。

図 5.6: $\Delta w$ の変化の幅による学習結果の比較(1)※拡大
\includegraphics[scale=1.0]{data/comp2big.eps}


表 5.4: 入力した全てのパターンの学習成功に要した,同一パターン連続入力回数
$\Delta w$の変化の幅 同一パターン連続入力回数
$\Delta w =$一定 83
$0.5\times10^{-6}$ 83
$1.0\times 10^{-6}$ 84
$1.5\times10^{-6}$ 79
$2.0\times 10^{-6}$ 74
$2.5\times10^{-6}$ 79
$3.0\times10^{-6}$ 84
$3.5\times 10^{-6}$ 93

5.6は図5.4を拡大したもの,表5.4は,それぞれの場合における全パターンの学習成功に要した同一パターン連続入力回数をまとめたものである。図5.6より,$\Delta w$ $2.5\times10^{-6}$より大きいもののグラフは,$\Delta w$が一定のグラフよりも下側にあることがわかる。また,表5.4では,変化させる幅が $2.0\times 10^{-6}$のとき最も連続入力回数が少ない。これらの結果から,$\Delta w$を変化させる幅は $2.0\times 10^{-6}$が最も良いと考えられる。



Deguchi Lab. 2016年3月1日