まず実験1では,は減少させる方向で変化させるのが良いということがわかった。実験2では,
を変化させる幅は
あたりが良いということがわかった。変化させる幅は小さすぎても大きすぎても良くないということである。次に実験3では,
の変化のさせ方を線形以外にして調査を行った。結果に大差がなかったことから,あえて線形以外の変化のさせ方をする必要はそれほどないと考えられる。実験4では,
を変化させる上での中心の値は
あたりが良いということがわかった。中心の値を大きめに設定することで,全体的に
の値が大きくなり,その分学習が早く進んだのだと考えられる。最後に実験5では,他の種類の入力パターンを用いることにより,この手法の一般性を調査した。その結果,この手法の一般性にはまだ疑問が残るということがわかった。
以上の実験により,を学習中に変化させることで学習能力が向上するのかどうか,またその変化のさせ方を変えた場合学習能力はどのように変わるのかといったことがわかった。ここでは,変化の幅
,中心の値
で線形減少させるという方法が,比較的良い結果を残した。
今後の課題としては,次の2つが挙げられる。まずひとつは,変化の幅と中心の値の組み合わせを変えることである。これらを変えてみるという試みは実験2と実験4で行った。しかし,どちらの実験でも,一方を固定してもう一方のみを変えていた。よって,これらの組み合わせを変えることで,さらによい方法が見つかるかもしれない。もうひとつの課題は,この手法の一般性の評価である。実験5から,他の入力パターンを用いると学習能力の向上具合が変わってくるということが明らかになった。よってこの点については,さらに他のパターンを用いるなどして,もう一歩立ち入って調べる必要があると考えられる。
本研究につきましては,電気情報工学科 教授 出口利憲先生にご指導を賜りました。また,本研究のみならず,研究室にて1年余の間大変お世話になりました。ここに感謝の意を表して,謝辞と致します。そして,同研究室の尾崎亮太,坂井菜月両氏には様々な面で協力を頂きました。両氏にも大変感謝しております。