ニューロン間のシナプス結合には, 興奮性と抑制性の二種類ある.
興奮性のシナプスは であるため,
式(2.2)の式から, そのニューロンが発火すると
他のニューロンも発火しやすくなり,
これをニューロン間の協調作用と呼ぶ.
抑制性のシナプスは
なのでそのニューロンが発火すると
他のニューロンの発火を抑えるように働き,
これをニューロン間の競合作用と呼ぶ.
一般にニューロンが多数相互結合したニューラルネットワークにおいても, 同様の効果が各シナプス結合の正負によって生じる. ニューラルネットワークの情報処理過程においては, その情報は各ニューロンの興奮によって担われているため, ニューラルネットワーク上の興奮パターンが重要な意味を持つ. したがって, 正のシナプス結合によってニューロン同士が ともに興奮しようとする協調作用と, 負のシナプス結合によって 他のニューロンの興奮を抑えようとする競合作用が, ニューラルネットワークの並列情報処理の 基本的なダイナミクスとなる[3]. 協調作用は, 相互に結合したニューロンの一つが, 他のニューロンに 自分と同じように興奮を促すものであり, 競合作用は, 他のニューロンに自分と逆の 反応を示すように促すものである.