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結論

本研究ではカオスニューロンを用いてネットワークを構築し,浅川の提案する逐次学習法によりアルファベットパターンを学習させた。 ネットワークの学習特性を学習回数やセット数について調べていくなかで,学習に大きな影響を与える不応性項の係数 tex2html_wrap_inline1101 に着目し,学習に与える影響についてその特性,必要性を検討した。 カオスニューラルネットワークでパターンを学習するには,ある程度の学習回数を必要とする。また,セット数を増やし,パターンを繰り返して学習させることも必要であることが分かった。しかし,その中でも,学習が成功するためには不応性の働きが必要不可欠であるということが分かった。 不応性はネットワークにパターンを強く覚えさせることにより,別のパターンを学習する時,既に学習が成功したパターンを忘れることなく覚えさせ続ける働きがある。これにより,ネットワークは複数のパターンの学習を成功させることが可能になる。また,実験結果からも分かるように,不応性が無い状態ではパターンの学習成功数が 0 になる。しかし, tex2html_wrap_inline1101 を大きくし過ぎると学習効率を下げてしまうことも分かった。これは,ネットワークにパターンを強く覚えさせ過ぎてしまうと,学習に成功したパターンの記憶を崩してしまい,全体的な学習がうまくいかなくなってしまうからである。 この問題はネットワークが学習をする際に変化させる結合荷重の変化回数を見ても明らかである。また個々のニューロンの内部状態を見ても不応性の存在が相互結合に大きな影響を与えていることが分かる。それはつまり不応性の変化がネットワークの学習そのものに影響を与えているということになる。 従って,不応性のパラメータである tex2html_wrap_inline1101 は 0 より大きくないといけないが,大き過ぎると全パターンの学習ができにくくなることが分かった。 ネットワークに相応しい tex2html_wrap_inline1101 を設定することでネットワークはより多くのパターンを効率的に学習することができるようになるだろう。

謝辞

最後に本研究を進めるに当たり,三年間を通して多大な御指導を賜わりました出口 利憲先生に深く感謝すると共に,同研究室において共に学んだ岩佐 要氏,酒井 哲平氏に厚く御礼を申し上げます。



Toshinori DEGUCHI
2003年 4月14日 月曜日 09時55分33秒 JST