不応性の項の係数 を変化させてネットワークの学習状況を調べたが,その際個々のニューロンの内部状態はどの様に変化しているのか。一つのニューロンをサンプルとして
,その内部状態を調べた。 このとき,パターンの学習回数は50回とした。 図 5.11 〜 図 5.19 は それぞれの
の値によるニューロンの内部状態で,横軸に時間をとり,縦軸にニューロンの内部状態の値をとっている。これらから,相互結合が外部入力に追従する形で変化していることが分かる。学習回数が50回なので,時間0と50でそれぞれ入力パターンを切り替わっている。 図 5.11 は
= 0 のニューロンの状態で,ここでは相互結合の項に大きな変化が見られず,外部入力に追従できていない。図 5.12 から不応性項の値が大きくなり始め,相互結合が外部入力に追従するような動きを見せている。
図 5.16 では,相互結合がほぼ外部入力と同じ値にまでに追従している。また, 図 5.4 〜 図 5.6 で示すように,この条件下での学習は効率良く成功している。図 5.18 は学習成功数が減少しはじめる際の内部状態である。この時相互結合は外部入力に追従できず、振動のような現象を起こしていることが分かり、これによりパターンの学習が成功していないと言える。図 5.15 では常に振動のような現象が発生しているため、パターンを学習しようとしても理想的な学習ができずにいることがわかる。
先に
が 0 の時は学習が成功しないことを述べたが,その理由として 図 5.11 に示すように,相互結合が十分に変化していないからだと考えられる。また,相互結合の項は結合荷重のみに関係し,ここからも結合荷重が十分に変化していないと考えられる。さらに学習が強固に行なわれていないために,パターンを切り替えて学習する際,以前覚えたパターンを忘れてしまうことが考えられる。
よって,個々のニューロンの状態からも,不応性の働きが無いと学習が成功しないことが分かった。