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カオスについて

カオス現象は, 自然物,人工物を問わず非線形システムに ごくごく当たり前に生じるものである。 カオス現象の例を挙げると,炎のゆらめきや海岸に打ち寄せる波, 風によってなびく旗などがあり,日常生活の中にも 様々なカオスを観察することができる。

またカオスは生体の活動に対しても重要な役割を占めている。 例として心臓の鼓動などがそれにあたる。 心臓の鼓動は常に一定ではなく, 強くなったり,弱くなったりしている。 刻々と変動していく予測のできないこの事象は, 自然環境の変化に対し,一定の鼓動であるよりも より柔軟に対応できるようになっている。

脳に関しては,ニューロン又はニューロンの集団は単一の機能を持つように 構築されるのではなくて,それらを取り巻く脳内環境や外界の状況に応じて, 複数の機能を表現できるように構築されている。 それらの活動状態は時間的に複雑な振舞いを示すことが可能になり、 自発的な想起を可能にする、 それはつまりカオス的遍歴と関係している, という津田の見解がある[9]。

カオスの定義は様々な研究者によってなされているが, それらを総じて要約すると, カオスとは,

「決定論的なシステムがつくり出す非周期振動」

であるといえる。

ここでいう決定論システムとは, 破ることができない不変の法則からなる系という意味であり, 非周期振動というのは, 専ら偶然に支配される確率論的な運動という意味である。 すなわちカオスは, 不変の法則に支配される系にありながら 法則性のない予測不可能な 非周期的振舞いということである[5]。



Toshinori DEGUCHI
2003年 4月14日 月曜日 09時55分33秒 JST