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: 現代GP : Squeakにより操作可能なマイコン制御システムの開発 : 目次   目次

序論

近年学力問題が大きく取り上げられ、特に理数系の学力低下が問題となっている。また、優秀なソフトウェア技術者をインドや中国などの海外のIT人材に依存するような状態が続いているということもあり、日本のIT人材の空洞化が懸念されている。そのような状態の中で、子供のころから体系的なソフトウェア技術者への育成教育が求められている。

Squeak(スクイーク)というオブジェクト指向環境は子供でも簡単に扱える容易さを備えており、子供のIT教育に効果があると期待されている。扱いが容易であるため、子供向けにソフトウェアの基本的な概念やシステムを作る時の発想法を、子供の発達段階を考慮して無理なく習得させることができる。現在では、日本語環境にも移植されており、日本の小・中学校で使われるようになっている。Squeakを使用したプログラミングは、Squeakがオブジェクト指向を基にした環境であることを最大限に活用しており、子供たちは自分で考えたアイデアをパソコン上に具現化して、楽しみながらシミュレーションやゲームなどを作る事ができる。これによりコンピュータプログラミングの基礎、数理的な考え方を学べると期待されている。また、Squeakはソフトウェアだけに留まらず、然るべきインターフェースを用意する事によって、ロボットに搭載されたマイコンをコンピュータに接続し、それをSqueak上から動作させることも可能である。これにより、ロボット技術の基本的な原理も習得できると期待される。

以上のような背景から、岐阜高専ではマイコン教材を使ってプログラムやロボット技術の基本原理を地域の小・中学生を対象に教える取り組みを行っている。この取り組みで使用するために、本研究は「Squeakによるマイコン制御システムの開発」をテーマとし、Squeak上でロボット制御を行うインターフェースプログラムおよびマイコンプログラムを開発する。過去の研究において、インターフェースの使い易さが十分でないという結果が出ており、これは概ね改善されたが、Squeakとの通信用のケーブルがロボットの動作に邪魔である、条件分岐処理が行えずロボットの動作に柔軟性が不足している、などの新たな問題点を指摘されたため、それらを解決することが目的である。



Deguchi Lab. 平成20年3月5日