Morphicは、Selfというプロトタイプベースのオブジェクト指向環境の上で構築されたGUIフレームワークで、Selfのオブジェクトを視覚的に制御・構築しやすいように工夫されたものである。これをSqueak/Smalltalkに移植したのがSqueak版Morphicである。視覚化や操作面での処理に関しては、クラスベースのSmalltalkでも問題なく実装できる。ただ、Morphのインスタンスはインスタンスであるために、プロトタイプベースのオブジェクトのように独自のメソッドを持つことができない。つまり、タイルを並べて新しくスクリプトを作っても、Morphクラスのメソッドとして持つことはできないのである。そこで、PlayerXXというクラス(メソッドを持つことができるクラスオブジェクト。実際にはその唯一のインスタンスがプレイヤーとなる)と一対一に対応させることで、従来のインスタンスでまかなえる部分はMorphインスタンスが、それを超える作成したスクリプトおよび変数の所有はパートナーとなるPlayerXXクラスが受け持つ、という実装になっている。
プレイヤーは指定したMorphクラスをコスチュームとして纏うことで、そのMorphクラス独自の機能を持つことができるようになる。図8.1でMoprh,Player,コスチュームの関係を分かりやすく示した。