平民文庫


明治37年9月1日発行の平民文庫 幸徳秋水著 ラサール

平民文庫とは平民社から出版された書籍であるが、まず平民社について説明せねばなるまい。
日露間が戦争の危機にあった明治36年10月に、幸徳秋水、堺利彦 両氏は戦争反対と社会主義の普及のため新聞社の職を辞し、平民社を創立し、週刊「平民新聞」を創刊した。 平民新聞は政府の弾圧に対抗してきたが明治38年1月29日号でついに廃刊、変わって「直言」を発行したが、これも9月に日露戦争後の講和反対の暴動に対して戒厳令がしかれたときに、永久発行停止となり平民社は解散した。 後に平民社は一旦復活したが再び廃刊。 明治43年大逆事件がおこり、翌年幸徳秋水は処刑された。
平民社は新聞の他に書籍も出版し、平民文庫と名付けている。社会主義の宣伝のためのものであるから、小型の本が多いが大きさが決まっていたわけでもないようである。 発行されたのはほぼ明治37年だけであり、一部を除いて大逆事件の頃に発売禁止となった。 社会思想史上重要な文庫であるが、現存数は極めて少ないと思われる。

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