研究テーマ

誘電率自動測定システムの開発


卒業論文序論の紹介

 自発分極を持ち,電界によって自発分極の方向が変えられ,電界を取りさった後にも残留分極を示す誘電体を強誘電体 (ferroelectric material)と呼ぶ.強誘電体には,温度を変化させていくと自発分極が消滅する温度がある. これはキュリー温度(Curie temperature)(Tc)と呼ばれる.強誘電体は,Tcを転移温度として高温側の常誘電相(paraelectric phase) から低温側の強誘電相(ferroelectric phase)へ相転移する.多くの強誘電体では,キュリー温度の近傍で大きな誘電率の発散が見られる. このため,強誘電体の相転移の研究では誘電率の温度依存性を調べることから始められる.
 また,誘電率は周波数の関数であるため,周波数に対する誘電率の大きさ(これを誘電分散という)を測定することにより, 相転移現象の機構解明につながる情報を引き出すことができる.
 そこで今回の研究では,パソコン,インピーダンス測定器,GP-IBインターフェースを用いて発振周波数を変化させながら, 各周波数における静電容量Cpを測定する誘電率自動測定システムの開発を行った.
 研究の最終的な目的は,相転移現象から強誘電体の構造的変化を読み取ることである.本研究はその第一歩になるものである.