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2.1 ニューロンとは

生体の脳神経系は、外界からの情報を感覚器(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を介して入力し、脳で情報処理を行ない、さらに効果器を介して外界へ出力する高度な大規模システムである。脳神経系は機能的および構造的に大変複雑ではあるが、基本的にはニューロン(Neuron:神経細胞)が基本構成素子となって、これらが多数(例えば人間の脳の場合100億から1000億個程度といわれている)集まって三次元に密に結合した回路網を形成している。[3]

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図 2.1: ニューロンの構造

ニューロンは図2.1に示すように、核が存在する細胞体、多くの枝から成る樹状突起(ニューロンの入力部)、能動ケーブルの役割を果たす軸索(信号伝送路)、シナプス(ニューロンの出力部)等から成る一つの細胞である。そして、ニューロンの情報処理の基本的なからくりは、ニューロンを構成する神経膜にある。

ニューロン間はシナプスを介して結合されており、他のニューロンからインパルスによって生じたシナプス電位は加重される。この加重されたシナプス電位がある大きさに達すると、ニューロンは全か無かの法則に従ってパルス状の電位変化を示す。これらはニューロンの示す最も基本的な性質といってよい。したがって、神経回路の工学的モデルを得るためにニューロンの機能をモデル化するとき、多数の入力の加重特性と発火のしきい値作用をニューロンの特徴的な性質としてモデル化する。これは、忠実なモデル化は取扱いを複雑にするだけで、むしろ本質を理解するには障害になると考えられるからである。



Deguchi Toshinori
1998年03月18日 (水) 13時22分42秒 JST