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2.5 ニューラルネットワークのエネルギー関数

  Hopfieldらによって、対称的なシナプス結合 tex2html_wrap_inline1656 を持つある種のニューラルネットワークにおいて、エネルギー関数が存在し、ニューラルネットワークはこのエネルギーを減少させるように動作することが示された。[3]

このニューラルネットワークの振舞いは図2.6に示すように、一種の山下り法(最急降下法)で、なめらかな凹凸を持つ曲面上を転がるボールの動きと同様であり、最終的には曲面のくぼ地(図2.6の極小値である点Aや点B)に収束する。

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図 2.6: エネルギー曲面

エネルギー関数がどのような形状を持つかは、シナプス結合分布などのニューラルネットワークの構造によるが、一般に、エネルギー関数は多くの極小点を持つ多安定関数になる。たとえば、各極小点をメモリの内容と考えると、ボールが斜面を転がる過程は、メモリの内容を思い出す相起過程と考えることができる。このような ニューラルネットワークが、内容アドレスメモリとして利用できることが示されている。このような連想記憶メモリの検索時間は、記憶数によらず一定であり、高速の読み出しが可能である。[4]



Deguchi Toshinori
1998年03月18日 (水) 13時22分42秒 JST