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3.2 カオス的挙動

カオス的挙動とは、入力値が少しでも異なると、その振舞いが大きく変わることである。 例として、式(3.1)、図3.1のような出力値がそのまま次の入力値になるような系を考える。

  equation146

     figure150
図 3.2: 初期値のわずかな違いによる系の挙動変化の様子
図 3.1: カオス的挙動を与える入出力特性

この式を用いて実際に繰り返し計算をし、繰り返し回数 nn 回目の出力 tex2html_wrap_inline1358 の関係を調べると、図3.2のように複雑な振舞いをしている。 よってこの系はカオスである。

また、この図の (a)、(b) ように初期値 tex2html_wrap_inline1360 をそれぞれ 0.300000、 0.300001 と、わずか百万分の一だけ異なっている値を使って計算し比較すると、n が 15 以下ではほとんど同じ挙動であるが、n が15以上では全く違った挙動となっている。 このようにカオスでは、初期値のわずかな誤差でも系の状態変化に、大きな影響を及ぼすことが示される。このことからもカオスは、不変の法則に支配される系にありながら法則性のない予測不可能な非周期的振舞といえる。



Deguchi Toshinori
Wed Jul 12 09:07:09 JST 2000