next up previous contents
Next: 2.3.2 カオスニューロン Up: 2.3 ニューロンの数理モデル Previous: 2.3 ニューロンの数理モデル

2.3.1 従来のニューロン

前節で述べたニューロンの構造や動作から具体的な数理モデルが数多く提案されてきた。 一般的には次の三つの事象を元にしてモデル化がなされている。すなわち、

である。

McCulloch と Pitts はこれらのことから式(2.1) によって膜電位 tex2html_wrap_inline1197 を求め、式(2.2) によってニューロンの発火条件をモデル化した。

  equation28

  equation33

ここで、 tex2html_wrap_inline1203 は注目しているニューロンの出力であり、 tex2html_wrap_inline1197 はその膜電位である。 このニューロンには M 個のシナプス結合があると考えたとき、 tex2html_wrap_inline1209 はそこへつながるニューロン j の出力である。そして、 tex2html_wrap_inline1213 がシナプスの結合強度を表す。 tex2html_wrap_inline1213 が正の場合はシナプスが興奮性であることを示し、逆に負の場合は抑制性であることを示す。 tex2html_wrap_inline1217 は閾値である。

式(2.2) の tex2html_wrap_inline1219 はステップ関数といい、単純に閾値を越えたか越えていないかで1または0の値をとるものである。 これを、図2.2 に示す。

   figure41
図 2.2: ステップ関数

このニューロンモデルでは、単純に前段のニューロン出力がシナプス結合強度と乗算され、それが加算されて膜電位が決められる。 そして、全か無かの法則に従い発火の有無によって出力が1または0となる。 このような出力が二つの値のみをとる モデルを2値モデルという。

一方で、目的や場合によっては、出力が連続的なある範囲内の値をとるような連続値モデルも使用される。 これは、2値モデルのようにインパルスを直接表現するのではなく、インパルスの発生頻度つまり信号の強弱を表現するものとなる。 連続値モデルを使ったニューロンモデルを図2.3 に示す。

   figure49
図 2.3: 従来のニューロン

ここでは、膜電位から出力を決定する関数 x = f(u) として、一般的に使用されている式(2.3) に示すシグモイド関数を使う。

  equation58

  equation64

この関数を図2.4 に示すが、その形は2値モデルで使用した図2.2 のステップ関数の角をとって滑らかにしたものになっている。 そして、式(2.4) に示すように関数の微分形がその関数自身で簡単に表せることも大きな特徴である。 なお、パラメータ tex2html_wrap_inline1223 は、u = 0 付近での関数の立ち上がりの急峻さを示し、この値が小さいほど傾きが急になり、 tex2html_wrap_inline1227 でステップ関数と同じ形になる。

   figure74
図 2.4: シグモイド関数



Deguchi Toshinori
Thu Mar 4 14:22:36 JST 1999