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5.3.2 繰り返し回数による特性

 

繰り返し回数とは各入力パターンを学習回数だけ全パターン学習させ、それを1セットとして、何回繰り返したかというものである。ここで使用した入力パターンはそれぞれ、5.3.1節で使用したパターンの中で最も平均に近い動作をしたものを使用した。ここでは繰り返し回数を変化させた時にいくつ学習出来たかを調べた。ここで表されている学習可能個数は、そこまで100%で学習が出来ている最大の個数のことである。図5.11から図5.17までがそれぞれの結果である。横軸全パターン学習させることを繰り返した回数で、縦軸は実際に学習出来た個数を示している。

   figure361
図 5.11: 黒10個のときのグラフ

   figure368
図 5.12: 黒15個のときのグラフ

   figure375
図 5.13: 黒20個のときのグラフ

   figure382
図 5.14: 黒25個のときのグラフ

   figure389
図 5.15: 黒30個のときのグラフ

   figure396
図 5.16: 黒35個のときのグラフ

   figure403
図 5.17: 黒40個のときのグラフ

結果からどのグラフも同じような特性をしていることが分かる。この実験では繰り返し回数を増やせば学習可能個数も増えるであろうという予想どおり、繰り返し回数を増加させるにつれ、学習可能個数も増加するという特性が得られた。この理由として考えられることは、繰り返しの回数が多くなるとそれぞれのパターンを何度も確認、認識することができ、一つ一つのパターンをより正確にとらえることが可能になる、ということだ。違いを見比べるという言葉のとおり、なんども繰り返すことにより、それぞれのちがいを見い出すことが出来るようになるのだと考えられる。ただしやはり学習可能個数には限界があるようで、45個から50個程で収束している。すなわちこれ以上何回繰り返しても学習可能個数は増加しないといえる。飽和してしまう原因として考えられることは、何度繰り返して確認をしても類似パターンが多い時にはやはり似ているパターンに収束するからだと思われる。増加の割合が大きいのは約20回位までで、その後傾きは小さくなり、50くらいからはほぼ一定になっている。このことから、違いを見比べることによるパターンの識別として有効なのは、始めのほうの20回位までで、それ以上はあまり効果が得られないのだといえる。ただし、学習個数特性とは違い、学習成功個数が低下するということはないようである。これらのことから、無駄のない学習をさせるならば最低でも20回くらい繰り返しを行ない、より多い学習を望むならば30回以上の繰り返しを行なうことが必要だということがわかる。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 13:13:35 JST 2000