next up previous contents
Next: 学習 Up: カオスニューラルネットワーク Previous: カオスニューロンモデル

カオスニューラルネットワーク

カオスニューロンの相互結合で構成されたネットワークを カオスニューラルネットワークと呼ぶ。 一般にニューロンのモデルを考えるにあたっては、

の双方を考慮する必要がある。 なぜならば、そのような設定でニューロンモデルを作っておけば、 その素子を用いて任意のアーキテクチャのニューラルネットワークを 構成できるからである。

このような観点から、単純な法則がカオスを含む複雑な応答特性を生み出す カオスニューロンモデルで構成されたカオスニューラルネットワークを考える。 カオスニューラルネットを構成する i 番目のニューロンの入出力の様子を、 図 3.1 に示す。ここで各ニューロンは、

   figure88
図 3.1: カオスニューロンモデル

  1. ネットワーク外部からの時空間入力
  2. ネットワーク内のニューロンとの相互作用による 時空間フィードバック(相互作用)入力
  3. 不応性の時間的加算効果
を有すると仮定する。 これらの値を調節することによって、 多様なネットワークダイナミクスが生み出される。 i 番目のカオスニューロンの入出力特性は式(3.1) で与えられる。

  equation99

ここで

tex2html_wrap_inline1604

M:外部からの入力総数

tex2html_wrap_inline1608

tex2html_wrap_inline1610

tex2html_wrap_inline1612

tex2html_wrap_inline1614

N:ニューラルネットワークを構成するカオスニューロンの総数

tex2html_wrap_inline1618

tex2html_wrap_inline1620

tex2html_wrap_inline1622

tex2html_wrap_inline1624

式(3.1) のカオスニューロンモデルは、 実際の生物のニューロンが有する軸索小丘部のアナログ的出力関数、 多数の外部入力やフィードバック入力の時空間的荷重および 神経膜の不応性をモデル化したものである。

式(3.1) の i 番目のカオスニューロンモデルの ダイナミクスは、それと等価で数値計算が容易な以下のような3つの内部状態変数 tex2html_wrap_inline1628 のダイナミクスに書き換えることができる。

  equation126

  equation132

  equation138

tex2html_wrap_inline1630

tex2html_wrap_inline1632

tex2html_wrap_inline1634

ここで、式(3.2),(3.3),(3.4) はおのおの 式(3.1)右辺の関数 f の( )内の第1項,第2項, および第3,4項に対応する i 番目のカオスニューロンの内部状態変数で、 以下のように定義される。

  equation145

  equation155

  equation165

上式(3.5) 〜式(3.7) で定義した 各項の和をニューロンの内部状態 とすると、i 番目のニューロンの出力は式(3.8) で表される[3]。

  equation176

ここで、関数 f は式(2.4) で表されるようなシグモイド関数とする。

また式(2.4),(3.2),(3.3),(3.4) を視覚的に表すと図 3.2 のようになる。

   figure185
図 3.2: 内部状態を考慮したカオスニューロンモデル



Toshinori DEGUCHI
2004年 3月22日 月曜日 09時50分50秒 JST