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4.3 カオスニューラルネットワークのモデル

  カオスニューロンを構成要素とするニューラルネットワークを カオスニューラルネットワーク(chaotic neural networks)と呼ぶ。

カオスニューラルネットワークのモデルの構成要素としてのニューロンモデルを 定式化するにあたって、 ``ホップフィールドのニューラルネットワークを典型例とする、 そのニューラルネット内のニューロンからのフィードバック入力''を考慮すると、 カオスニューロンモデルのダイナミクスは、次式のように表わされ、 モデル図は図 4.3 となる。

  eqnarray195

   figure205
図 4.3: カオスニューロンのモデル図

ここで、各変数、定数は、

tex2html_wrap_inline2100
: 時刻 t+1 でのニューロン i の出力値、 出力は1から0の間の数値であり、 また、時間は離散的に刻まれる。
tex2html_wrap_inline2106
: 時刻 t のニューロン j の出力に対するニューロン i への フィードバック入力。
N
: ニューロンへのフィードバック入力線の総数。
tex2html_wrap_inline2116
: ニューロン j からニューロン i へのシナプス結合の強さ。
tex2html_wrap_inline2122
: 相互結合入力に関する記憶の減衰定数( tex2html_wrap_inline2124 )。
tex2html_wrap_inline2126
: 不応性に関する減衰定数( tex2html_wrap_inline2128 )。
g
: ニューロンの出力と不応性の大きさとの関係を与える関数。
tex2html_wrap_inline2132
: ニューロンのしきい値。
tex2html_wrap_inline2134
: 定数パラメータ。

となる。また、ニューロン i の内部状態を

    eqnarray217

と定義し、関数 g , h を恒等関数(g(x)=x)として扱うと、 式(4.8)(4.9)は 式(4.11)(4.12)のように単純化される。

   eqnarray237

式(4.10)(4.11)(4.12)は、神経細胞の持つ空間的加算、 連続的しきい値作用及び、不応性をすべて持ち合わせ、 既存のニューラルネットワークモデルの多くをそのパラメータや関数の簡単化 によって内含する``カオスニューロンのモデル''である。

但し、本研究では、カオスニューロンのモデル式(4.11)にシナプス前抑制関数 を考慮したものを用いる。



Deguchi Toshinori
1996年11月14日 (木) 12時50分06秒 JST