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4.2 カオスニューロンのダイナミクス

  実際の神経細胞は容易にカオスを生成し、その応答は非周期的であるにも関らず、 従来のニューロンのモデルの応答は、ほとんど全て周期的である。 これは、従来考慮していなかった神経細胞の何らかの特徴が、 カオスの生成に寄与していることを示している。

従来のニューロンのモデルの出力は、 全か無かの法則(単位ステップ関数)で与えられていたが、 実際の神経細胞において空間固定の条件で注意深い実験を行うと、 神経膜の活動電位生成過程は厳密には全か無かの法則には従わず、 図 4.2 のように急峻ではあるが 連続的に応答の大きさが変化する ``ファジー''な活動電位特性を有することが分かる。 そして、ニューロンのカオスを生成する軌道不安定性は、 この連続的なしきいセパラトリクスに起因する。 すなわち、ニューロンのカオスは全か無かの法則の不成立ゆえに成立するのである。 [1]

   figure155
図 4.2: シグモイド関数

ここで、式(4.1)の単位ステップ関数 g をシグモイド関数

equation163

に置き換えることによって、ニューロンのモデルで成立していた``全か無かの法則” を打ち崩し、カオスニューロンのダイナミクスが次式のようになる。

  equation167

また、本研究では、 不応性とシナプス結合が時間と共に指数関数的に減衰するものとして、 次の2式を仮定する。

eqnarray176

よって、式(4.3)は次式のように書き換えられる。

  equation184



Deguchi Toshinori
1996年11月14日 (木) 12時50分06秒 JST