以上の結果より、不応性の影響の度合いを定めるパラメータ を変えて学習を行い、それを観察することによって、記憶と忘却の平衡をより良く保つことの出来る点を探すことにする。
最初に を2.0に定めたのは、 近辺が最も効率良く学習が成功したという高木の報告に依る[7]。 この値から大きく外れると学習効率は落ちるとされているので、2.0近辺に の値を数種設定して学習を行い、全てのパターンを覚えていたセット数を比較する。
図6.15に、横軸に の値を取り結果を示す。 初めに用いていた を基準として0.1ごとに学習を行った結果、全てのパターンを覚えていたセット数を縦軸の値として表した。 縦軸の値はこれまでと同様3000セットを最大とし、図においては1000までの値を取った。 この値は学習の効率を示す一種の尺度となると考え、以下この値の事に触れる際には「効率」と表記する。
図を見ると、 が2.0以下になると効率は大きく落ちる。 また、 の時よりも高い効率を示した学習に を2.1及び2.2に設定したものがあり、 の時の効率が低いことから、 が2.1以上2.2以下の範囲に、65パターンの学習を試みた際に最も効率良く学習ができる点があると推測し、 の時の状態を調べた。
その結果、 を2.1以上2.2以下の値に設定することで今回の場合はより効率良く学習ができると言える。