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5.3 複数のニューロンによる周期信号の検出

5.25の様な同期ニューラルネットワークを考える。

   figure466
図 5.25: 周期信号を検出する同期ニューラルネットワーク

この同期ニューラルネットワークのニューロン間の信号の到達時間は、同じではなく、 違った値を持つとする。閾値は図5.13と同じくニューロン1が1、 その他のニューロンは2である。ニューロン tex2html_wrap_inline1908 の出力は 前と同様に式5.11で表される。

  equation476

またニューロン tex2html_wrap_inline1910 の出力は式5.12の様に表せる。 ニューロン tex2html_wrap_inline1908 の出力は時間が tex2html_wrap_inline1980 だけ経ってからニューロン tex2html_wrap_inline1910 に 到達するので式5.12は式5.13と書き換えることが出来る。

  equation482

  equation485

ニューロン3の出力は式5.14で表され、式5.15 の様に書き換えられる。

  equation490

  equation493

同様にi番目のニューロンの出力は式5.16の様に表される。

  equation497

この複雑な式5.16から、ニューロン tex2html_wrap_inline2202 が発火するには パルス間隔が、先頭から tex2html_wrap_inline1980tex2html_wrap_inline1982tex2html_wrap_inline2336tex2html_wrap_inline2338 というパルス列が入力された時ということがわかる。 図5.25n=4とし、 tex2html_wrap_inline2342tex2html_wrap_inline2344tex2html_wrap_inline2346 とした場合に、この動的細胞集成体に様々な信号を入力した時の出力を 実験によって調べた。その結果を図5.265.29に示す。

   figure507
図 5.26: パルス間隔12、8、9

   figure514
図 5.27: パルス間隔12、9、8

   figure521
図 5.28: パルス間隔11、8、9

   figure528
図 5.29: パルス間隔8、4、8、9

5.26はパルス間隔が信号の到達時間と組合せも順番も同じもの、 図5.27はパルス間隔が信号の到達時間と組合せが同じで 順番が異なるもの、 図5.28はパルス間隔が信号の到達時間と一部分違うもの、 図5.29は入力1に雑音としてさらにパルスがのったものである。 入力が図5.26の場合は予想通りパルスが出力されるが、 全体の周期が同じ図5.27の場合でも図5.28の 様なパルス間隔が一部異なる場合でもパルスは出力されない。 入力が図5.29の場合でもパルスが出力されているのは、 式5.16の条件を満たす様なパルスが図5.29の入力にも 存在しているためである。

このように図5.25の様な同期ニューラルネットワークでは、 周期パルスの様な単純な信号ではない、複雑な信号を検出することが出来る。 もっと複雑な信号を検出することを考えるなら、 ニューロンの数を増やすことで解決することが出来る。



Deguchi Toshinori
1999年03月16日 (火) 16時39分45秒 JST