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ニューロン(神経細胞のモデル化)

 2.1節で述べた神経細胞をモデル化したものが、 ニューラルネットワークの構成要素のニューロンである。 その中で単純かつ広く利用されているのが1943年にW.S.McCulloch, M.H.Pittsが提案した、 マッカロックーピッツのニューロンモデル(MPモデル)である。

図 2.3: マッカロックーピッツのニューロンモデル
\includegraphics[scale=1.0]{neuron_MPmodel.eps}

2.3がそのモデル図であり、次式で表す事が出来る。


$\displaystyle \begin{array}{l}
\displaystyle x(t+1) = \biggl[ \quad \sum_{i=1}^{n}{w_is_i(t)}-\theta \quad \biggr]
\end{array}$     (2.1)

ここで、$x(t+1)$は時刻$t+1$のニューロンの出力値 (出力は1(発火状態)もしくは0(静止状態)のどちらかである)。 $N$はニューロンへの入力の総数、 $w_i$$i$番目の入力のシナプス結合荷重、 $s_i$$i$番目のシナプス結合を形成している入力側のニューロンの出力、 $t$は離散時間( $t=0, 1, 2, \cdots$)、 そして$\theta$はニューロンの閾値である。

図 2.4: MPモデルの入出力特性
\includegraphics[scale=1.0]{neuron_MPpulse.eps}

2.4はMPモデルの入出力特性である。 このモデルでは出力関数にヘビサイド関数を用いている。 出力が1または0のどちらかであったのはこの出力関数故である。 また$s_i$の値が1であればその入力側のニューロンは発火しているとも分かる。

MPモデルはこのように非常に単純な構成からなるが利用性は高い。 簡単な例として2入力($N=2$)の場合を考える。 この時それぞれのパラメータを$w_1=1$, $w_2=1$, $\theta=1.5$とすれば論理積(AND)素子、 $w_1=1$, $w_2=1$, $\theta=0.5$とすれば論理和(OR)素子を実現できる。 また、1入力($N=1$)で$w_1=-1$, $\theta=-0.5$とすれば否定(NOT)素子も実現できる。 このようにMPモデルは論理的に万能な素子である。



Deguchi Lab. 2010年3月5日