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まとめ

アンケート結果について、各評価項目の平均値をグラフにしたものを、図 5.4に示す。

ユーザビリティには、操作画面のデザインや、操作方法の難しさが関わってくると考えられる。

まず、デザインは、学習のしやすさと記憶のしやすさに影響すると考えられる。

記憶のしやすさの観点から考えると、2-2や、テーマ1の1-1以外は高い評価を得ている。2-2は磁界の向きを上向きや下向きに変えたり、値が変動させられることを分かりやすくしており、テーマ1の1-3は2進数の設定ができる場所が大きく表示してあり、1-2や1-4はボタンが大きいので、再度コンテンツを利用する際に、思い出しやすいデザインになっていると考えられる。

学習のしやすさは記憶のしやすさに影響を与えていると考えられる。学習しやすかったということは、記憶するのも難しくないということになるからである。

次に、操作方法は、効率性やエラー発生率に影響すると考えられる。

操作方法の使いやすさを示す効率性の観点から考えると、1-4と2-3が高い評価を得ている。1-4はボタン入力で、2-3はドラッグ&ドロップだが、この二つの操作方法に共通していたのは、操作対象であるオブジェクトの数が少なかったということである。

全体を通してみると、操作回数が少なくてすむものは効率がよく、エラーの発生も少ないということが考えられる。 操作回数が少なくてすむものは、2-3のようなドラッグ&ドロップによる操作や、操作対象の少ない1-4、2-2といったものである。 操作回数が多くなってしまったり、多くの入力が可能である1-3や2-1は、エラーの発生が懸念される。 また、操作対象を操作すること自体が難しいと思われる1-1は、効率性に影響を与えるだけでなく、学習のしやすさや記憶のしやすさにも影響を与える。 2-3については、入力制限を分かりやすく示し、なおかつ、操作回数が少なくなるように、連続で操作が行えるようにすれば、評価が上がる可能性があったと考えられる。

操作方法にキーボード入力を含んでいた1-3については、Enterキーがsetボタンの役割を果たすような仕様を付け加え、Enterキーでもsetボタンでも状態を変化させることができるようにすれば、ユーザビリティの高いものになったと考えられる。 ここで、setボタンがなくて、Enterキーで状態を変化させる機能だけがついていた場合を考える。 setボタンがなければ、0000という数値が入った枠だけが表示されていることになり、その枠が何を示しているのかが分かりにくいと考えられる。 そのためsetボタンは必要だったと考えられる。 しかし、実際はEnterキーでsetボタンの役割が果たせた方が、効率性が上がるため、Enterキーでの状態変化と、setキーでの状態変化の機能は一緒に存在した方がよいと考えられる。

そして、テーマ2に共通で設けていたresetボタンについて、記述欄で「カーソルを当てても手の形にならなかったのでボタンだということが分かりにくい」という意見があった。

1-3のsetボタンについては、カーソルを当てると手の形になるように設計されており、他の操作方法についても、押すべきボタンは、全てカーソルを当てると手の形になるように設計してあった。 また、「何かしらメッセージがあった方が操作方法に気づきやすい」という意見もあった。

操作方法を見つけ出す際に、メッセージがあれば、操作方法に気づくまでの時間は短くなる。 今回作成したコンテンツに、メッセージを表示することは不可能ではないが、他のコンテンツを作った場合に、メッセージを表示できない可能性は十分にある。 そのため、デザインを工夫して、操作方法に気づきやすくする必要がある。 今回、全ての操作方法において、画面上でカーソルを動かし、カーソルが手の形になったところが操作できる場所である、というように操作方法を探すことができた。 利用者はおそらく、その方法で操作方法を探していたため、カーソルが手の形にならないresetボタンには違和感があったと考えられる。 ボタンにたまたま「reset」という単語が書いてあったため、そのボタンの機能が分かったのであって、もし何も書かれていなければ、そのボタンにカーソルを当てても何も起きないので、機能が分からなかったのではないかと考えられる。

操作する部分にカーソルがあたったとき、カーソルが手の形になるだけではなく、色が変わるなどの変化を持たせると、より使いやすくなるのではないかと考えられる。

また、ボタンに「reset」、「set」といった情報を載せると、機能が分かりやすく見えると考えられる。 ただし、ボタンに情報を載せすぎると、デザインとして見にくくなるので、ボタンの配置を工夫するなどして、機能が分かりやすいようにする必要がある。

テーマ2について、「図と操作部分が離れていて、図を見る余裕がない」という意見があった。 テーマ1は、操作部分と変化する図の位置が近めだが、テーマ2は変化する図が大きく、操作部分は左端に寄っているので、このような意見があったと考えられる。 よって、操作によって変化する場所は、操作部分の近くに配置するべきだと考えられる。

図 5.4: 各評価項目の平均値
\includegraphics[scale=1.0]{f1ave.eps}
(a)テーマ1:D-A変換器
\includegraphics[scale=1.0]{f2ave.eps}
(b)テーマ2:鉄の磁化曲線(ヒステリシス特性)



Deguchi Lab. 2012年3月9日