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6.2.2 学習法2と学習法3の比較

  次に、学習法2と学習法3を比較する。 先程と同様に総学習回数を10000回で一定とし、学習ステップ数を横軸と した場合の学習法2と学習法3のグラフを図 6.4 と図 6.5 に示す。

   figure398
図 6.4: 入力パターン40種類の時のグラフ

   figure406
図 6.5: 入力パターン60種類の時のグラフ

学習法2と学習法3は、入力パターンが変化しても ニューロンは特別な動作をせず、内部状態は0からではなく 前のパターンを学習していた時の状態から学習を始める。 そのため前に学習させていたパターンによって、 次に入力したパターンを学習しやすい状態にあるニューロンと 学習しにくい状態にあるニューロンがある。 そのようなニューロン毎の状態のばらつきが学習に影響を与え、 学習成功数を少なくしていると考えられる。 内部状態は入力パターンに合わせて変化していくが、その影響が 出力に現れるまでには時間がかかる。 学習法2は学習式と学習条件が学習法1と同じ物なので、 すべてのニューロンの出力が入力パターンと同じものにならない限り 正しい学習を行なうことができない。加えて、 カオスニューロンの内部状態がリセットされていないので、 カオスニューロンの特徴である過去の状態の影響のため、 出力が入力パターンと同じ物になるまでには 学習法1よりもさらに長い時間がかかる。 学習法3は、外部入力が常に正しい形で与えられているが、 学習法2と同様の理由から外部入力項と相互結合項が正しいものになる までには時間がかかる。 よって、入力が切り替わってからすぐに学習条件が成立しても 正しい学習を行う事ができるとは限らず、学習成功数は少ない。

学習を始めるまでに長い時間を要するということは、 必然的に学習ステップ数が大きくないと学習を 行なうことができないということである。 しかし総学習回数は10000回で一定なので、学習ステップ数を増やすと 学習セット数が少なくなり、学習成功数は減少する。 この特性は学習法1や学習法4と同様である。

学習成功数については学習法2と学習法3には大きな差はない。 どちらも学習ステップ数が20から60の間で学習成功数は最大となり、 その後同じような傾きで学習成功数は減少していく。 但し最大学習成功数は学習法1や学習法4に比べるとかなり少なく、 パターンを40種類学習させても実際に学習できたのは学習法3で30個まで、 学習法2では25個までである。 しかも、入力パターン数を60種類に増やすと学習成功数は逆に減少した。 これは、入力パターンが多過ぎて結合荷重の変化量が少なくなるため パターン毎の特徴を結合荷重に反映することが難しくなり、 特徴の少ないパターンから学習できなくなっていくのである。 最終的に学習成功数は5個ほどに落ち着くが、 それは比較的容易に学習できる特徴のあるパターンが5種類あり、 学習セット数が少なくてもその5個のパターンはできるが、 その他のパターンは学習セット数が足りず学習できなかったということである。

この2つの学習法の特徴は、 過去の状態の影響によって学習が大きく影響されているという事である。 大抵の場合はこの影響は学習にとって悪い方向に働き、 学習時間、学習成功数共に学習法1、学習法4に比べて悪化している。



Deguchi Toshinori
Mon Feb 19 13:32:26 JST 2001