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ランダムパターンの学習

アルファベットのパターンを使用すると, Iや Tなど似ているパターンがあったり, また似ていないパターンがあったりと,相関値にばらつきがでる. そこで相関値がほぼ一定になるようにランダムパターンを作製した. 図5.7は作製した素子数100個のパターン一部である. この3個のようなパターンを用い, 学習を行う.

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図 5.7: 実験に使用した100素子のランダムパターンの一部

その結果が図5.8から 図5.10のようになった. 横軸はセット数で,縦軸は学習成功数である. 図5.8, 図5.9の結果では, 図5.8で使用した学習パターンが, 学習が成功するのが遅いことがわかる. また, 図5.9, 図5.10の結果では, 図5.9で使用した学習パターンが, 学習が成功するのが遅いことがわかる. 図5.10, 図5.9, 図5.8になるにつれ, 相関値が高いパターンとなっている. よって, 相関値が高い つまり似通っているほど学習が成功するスピードが遅いことが確認された. しかし,素子数が49個の場合, どちらのパターンでも学習がうまくいっていないことが分かる. 連想記憶においては, パターンをネットワーク全体の中に 分散し多重化して貯えるので, ある程度以上多数のパターンを覚えようとすると, パターン同士の相互干渉が起こり, 記憶が崩壊することが起こる. よって, これは49個の素子数での学習できるパターン数の最大個数を 越えているのだと考えられる. また, 49素子の場合,セット数が増えると相関値の低いほうが 学習成功数が伸びず, 逆に 相関が高い方が学習成功数が増えていっていること, つまり学習がうまくいっていることが伺える.

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図 5.8: 相関値の平均が約40%のランダムパターンによる学習成功数

   figure421
図 5.9: 相関値の平均が約35%ランダムパターンによる学習成功数

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図 5.10: 相関値の平均が約25%ランダムパターンによる学習成功数



Toshinori DEGUCHI
2004年 2月22日 日曜日 14時38分28秒 JST