next up previous contents
Next: カオスとカオスニューラルネットワーク Up: ニューロンとニューラルネットワーク Previous: ニューラルネットワークの協調と競合

ニューラルネットワークとエネルギー関数

  神経回路網において, 状態が時間とともにどう移り変わっていくのかを 調べる方法として, エネルギー関数を用いたものがある.

ホップフィールド(Hopfield)らによって, 対称的なシナプス結合 tex2html_wrap_inline1235 を持つ ニューラルネットワークにおいて, エネルギー関数が存在して, ニューラルネットワークはこのエネルギーを 減少させるように動作することが示された[3].

このニューラルネットワークの振舞いは図 2.5 に示すように, 一種の山下り法(最急降下法)で, なめらかな凹凸を持つ曲面上を 転がるボールの動きと同様であり, 最終的にはエネルギーの谷である 曲面のくぼみ(図 2.5 の極小値 A や点 B)に到達する.

   figure80
図 2.5: エネルギー曲面

エネルギー関数がどのような形状を持つかは, 素子間の結合荷重分布などの ニューラルネットワークの構造によるが, 一般に, エネルギー関数は多くの極小点を持つ多安定関数になる. たとえば, 各極小点を記憶の内容と考えると, ボールが斜面を転がる過程は, 記憶の内容を思い出す(想起)過程と考えることができる[1].



Toshinori DEGUCHI
2004年 2月22日 日曜日 14時38分28秒 JST