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3.1 ニューロン

ニューロン(神経細胞)は、生体の中で情報処理機能を持つ細胞である。 情報処理と言えば、同じく人間の知的情報処理を扱う人工知能(AI)と並んで扱われることが多い。 しかし、人工知能の分野では``心理的な''知識情報処理を対象としているのに対して、神経回路網の分野では``生理的な''情報処理の解明を対象としている。 つまり、神経回路網は生物の神経細胞を1つの情報処理素子として考え、その組合せによって知的情報処理を行なおうとするものである。 [2, 5]

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図 3.1: ニューロンの構造

3.1に示すように、ニューロンは核が存在する本体の細胞体の部分と、複雑に枝分かれした樹状突起と呼ぶ部分、同じく本体から一本だけ出ていて末端で多数に枝分かれをする軸索と呼ぶ部分の三つに分けられる。 軸索は細胞体本体からの信号を他のニューロンに伝える(信号伝送路)線維である。 樹状突起は他のニューロンからの信号を受けとる(ニューロンの入力部)部分である。 すなわち、他のニューロンの軸索の末端がここに結合している。 この結合部分をシナプス(ニューロンの出力部)と呼ぶ。 軸索は十から数百に分岐しており、シナプスを介して数多くの細胞につながっている。 また、一つの細胞が受けるシナプス結合の数は、数百ないし数千、まれには数万に及ぶ。

このように、ニューロンにおける信号の流れは、樹状突起と細胞体で他の細胞からの信号を受け、軸索から他の細胞へ出力を出すと表すことができる。よって、ニューロンのモデルは、ニューロンの持つ入出力関係を反映したものになっている。



Deguchi Toshinori
1996年10月08日 (火) 12時41分40秒 JST