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6.2.1 3層モデルについて

6.2に3層モデルの平均合致率を、図6.3に3層モデルの合致度数を示した。 この2つの図は、3層モデルが学習するパターンのサイクルに同一パターンがあった場合に、 想起能力がどの程度、影響を受けるのかということを示している。 図6.2を見ると、再発部分系列がない場合は、ノイズが30%を越えた辺りから想起能力が落ち始めることが分かる。 再発部分系列がある場合は、その長さに関わらず、ノイズが25%を越えた辺りから想起能力が落ち始めている。 また、37%までは学習パターンに同一パターンがない場合の想起能力が一番よいが、 37%を越えると、学習するパターンのサイクル内に同一パターンが2つある場合の特性が幾分よい。 また、3層モデルでは20%から30%までのパターンの誤りを訂正できる能力があると考えられ、 これは、学習パターンのサイクル内における同一パターンの有無に大きく影響を受けないということである。 しかし、これだけの能力が保証されている訳ではなく、パターンに対して1と0がほぼ同確率で現れるよう、 符号化した場合にはこの程度の想起能力は期待できるということである。

6.3を見ると、40%程度までは図6.2の特性とあまり変わりはないが、 40%を越えた辺りから、学習するパターンのサイクル内に同一パターンが2つある場合の100%合致度数が、 他の2つに比べ、かなり多いことが分かる。 しかし、このような2元通信路では50%の誤り率で情報量が最小になり、 誤り率40%というのは、まず起こり得ない程ひどい状態であるため、 特に考慮する必要がないと考えられ、 学習するパターンのサイクル内に同一パターンが幾つあっても、想起能力には、殆ど差がないと考えられる。

また、100%合致度数がこれだけ多いにもかかわらず、平均合致率にすると他の2つとあまり差がない。 これより、学習するパターンのサイクル内に同一パターンが2つある場合は、 0%合致度数も多いことが分かる。 0%合致というのは、学習パターンにノイズを100%加えたパターン、 すなわち、2元通信路では反転パターンということになる。

   figure481
図 6.2: 3層モデルの平均合致率

   figure488
図 6.3: 3層モデルの100%合致度数



Deguchi Toshinori
1996年10月29日 (火) 11時21分05秒 JST